第16章 ナワーブと一緒END
夏葉が立ち上がろうとするが、熱のせいでうまく立てずにそのままよろけて壁にぶつかる。明らかに悪化しているな、と思い、夏葉に駆け寄り、手で熱をはかる。
「…熱いな。夏葉、ベッドで寝てろ。」
「えぇ…ナワーブの梅粥食べたい…」
「食わせてやるから。寝てろ。」
はあい、と言って夏葉が大人しく寝転がる。良かった。とりあえず、梅粥よそってやるか。
ーーーーーーーー
急に息苦しくなった。回りのものがが何重にも重なって見える。なに、これ。
「夏葉、よそったから食え。…俺が食わす。」
食え、と言ったあとに食わせてやるみたいなことを言われて、頭が回らない今の私はどうするべきなのかが分からなかった。
その時、ナワーブがベッドの上に乗ってきた。そして、私を座りながらお姫様だっこした。(?)
「ぼら、口開けろ。」
もう本当に、体的に色々とヤバくて、なかなか声も聞き取れない。
「…ちっ」
舌打ちのような音がしたような、してないような…。
そんなとき、ナワーブがキス?をしてきた。そのまま梅粥が口の中に入ってくる。口移し、か。
「ん…」
口の中にお粥特有の優しい味が広がる。
「美味いか?」
ナワーブに今できる限りの笑顔を返す。良かった、というナワーブの声が聞こえた気がした。
その後の記憶は、私にはない。
~数日後~
「ん…熱計ろ…」
朝起きたらすぐに熱を計るようにしている。熱が下がっていたら、あとすこし大人しくしておけばなおるということだからだ。
すると、ナワーブが起き出してきた。
「夏葉おはよ。熱どうだ?」
いつもこうやって私のことを気にかけてくれる。好き。
「んっとね、熱は…35.9!平熱!」
「おぉ、やったな。じゃあ、あと少しの間は暴れたい気持ちを抑えること。分かったか?」
「はーい」
「…今日の朝飯、味噌汁と焼き魚でいいか?」
「え!うん、もちろんだよ!作れるの!?」
「美智子に聞いた。夏葉は日本出身だから作れて損はないって」
「みっちゃんありがとう…!これは肩叩き券あげないとな…。ナワーブにも、なんでも言うこと聞いてあげる券作ってあげる!」
ナワーブは小さな声で幼稚で可愛いな、と言って、「ありがと。楽しみにしとくわ。」と言った。
幼稚で可愛いって誉め言葉?ディスられてる?