第16章 ナワーブと一緒END
睡眠薬といっても風邪薬みたいなものだったらしく(?)夜まで眠っていたが、かなり元気にはなった。
「夏葉、起きたか。体調どうだ?」
「…おかげさまで元気だよ。ありがとう」
ナワーブは少し照れたように、「おう」と言った。
「普通の飯食えるか?まだ粥の方がいいか?」
「お粥がいいなぁ……梅粥!」
ナワーブは、梅粥?と、不思議そうにこちらを見ている。そうか、日本生まれじゃないから梅粥を知らないのか。荘園の冷蔵庫に梅干しがあるとも思えないしなぁ。
あ、美智子さんなら持ってる気がする。この間マリーさんと酸っぱいけど美味い、と食べていたのを見た。そこで私の視線に気づいた美智子さんに、口のなかに梅干し突っ込まれたっけ。
「荘園にはないからなぁ。欲しければいつでも言いんさい。あげるわ。」、といってくれていたから、貰ってこようかな。
「ちょっと、美智子さんに梅干し貰ってくる~」
そう言って布団から起き上がると、ナワーブにまた布団に押し倒された。
「ナワーブ、何さ?もう少しは元気だから歩けるよ。」
「俺が行ってくるから、寝てろ。」
「だ、大丈夫だって…」
「寝ていてくれ、頼む。」
お願いをされてしまったので、大人しくベッドに横になる。ナワーブはそれを確認してから部屋を出た。別に動けるのになぁ。
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ナワーブ視点
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夏葉に飲ませたのは副作用の強い風邪薬と俺がまだグルカ兵だったときに飲んでいた痛み止めなどだ。だから、苦しくないだけでまだ熱だ。あまりうろちょろされて体に限界を迎えられても困る。
「あれ……芸者の部屋ってここだよな…?」
「なんや傭兵はん?うちに用かい?」