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曇った空の恋の話【第5人格】

第16章 ナワーブと一緒END


 後日
「ちゃらっちゃらちゃちゃー!!」
「……夏葉どうした?」
 熱でも出たかと心配したようにナワーブが私のおでこに手を当てた。
「失敬な!!熱じゃありませんよ!これから私がナワーブ君に手料理を振る舞ってやるぜ、って話です!私の手料理食べたいかぁー!」
「……お前の料理は食いたいけど、普通に微熱無いか?顔も赤くなってきてるし…」
「ん~…暴れたからじゃない?」
「暴れてる自覚はあったんだな…とりあえず、一旦熱は計っとこう。お前、今日試合だよな?もし熱があったら俺が代わってやるから。」
「熱じゃないもん!!」
 そう言い張る私をおさえて、ナワーブが私の脇に体温計をぶちこむ。しばらくしてピピピっという機械音が鳴ったので、ナワーブが体温計を見る。
「……計り直せ」
「え?何度だったの?」
「38.5℃」
「うっそだぁ……計り直そう」
 そしてまたしばらくして機械音が鳴ったので再度体温を確認する。
「38.7℃」
「熱だね」
「熱だな」
「あぁー、なんかそう言われると頭痛い気がしてきた……なんか足元おぼつかない気もするな……」
「試合は俺が代わるから寝とけ。……何時からの試合だ?」
 ナワーブが自分の対戦表を見ながら言う。そういえば、今日はナワーブも試合だったな。
「んっとね、……あと二時間後……10時かな。」
「あー…俺9時50分からだわ」
「ちょっと……頑張ってくる…」
「寝てろ馬鹿!ビクターにでも代わってもらったらいいだろ」
 私は今回の試合にはどうしても出たかったので、「でも」「だって」を使い、言い訳をしまくった。結局はナワーブがお粥を作ってくれたがその中に睡眠薬が入っていて強制的に眠らされたのがオチだった。ああ、せっかく初めての対アントニオ戦だったのに。
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