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曇った空の恋の話【第5人格】

第16章 ナワーブと一緒END


 結局あのあと、お泊まり会は中止になった。理由は私が面倒くさいから。
「なぁ夏葉。」
「んぁ?なにナワーブ。」
 ナワーブが顔を赤らめながら言う。
「あの、その、さ……夏葉に、ちゃんと俺を男、として見てほしいんだよ。」
 何を言っているんだろう。
「お前を女と思ったことなんて両手におさまるほどしかないぜ?」
「あんのかよ!!てか、両手って事は最低でも6回は思われてんのかよ!」
「……((たまにかわいいんだもん(ボソッ」
 ナワーブは少し私を睨み付けたあとに言った。
「…はぁ……。まぁ、いい。女と思われたことがあったとしてももう過去の事だろうし、水に流そう。……今夜、俺の部屋来い。男としてしか見られないようにしてやるよ」
「……?うん。分かった。お泊まり?」
「あ~……お泊まり…かなぁ……?」
「分かった!」
 私とナワーブの会話はそこで終了して、そのまま解散した。
 まぁ、普通の人なら今の会話で何をしようとしているのかを理解できているだろうが、残念ながら、私の残念な頭では理解出来ていなかった。
 夕食の時間が来た。

「夏葉、隣座るぞ。」
「あ、うん。」
「今日、風呂は俺の部屋ので済ませていいから、メシ食い終わったら風呂入らないで俺の部屋に直行しろ。」
「分かった。あ、ナワーブ!早食い競争しようよ!今日こそは負けない!!」
「おぉいいぜ?負けた方は罰ゲームとして相手の言うこと何でも聞く、でいいよな?」
「うん、いつも通りでいいよ。じゃあ、よーい、ドン!」
 黙々とご飯を食べ進めていく。途中ウィリアムやらノートンやらが話しかけてきたが、何かを察して、その場を離れていった。
「はむっ、むぐ……ふぅ!ごちそうさまでした!」
「あーあー、負けちゃったねぇ」
 そう言うナワーブの食器を見ると、ほとんど全部に手がつけられていなかった。
「ちょっ…バレない程度の手加減とかならまだしも、それはないでしょ!!!!ちゃんと勝負しに来なさいよ!!」
 私がそういうと、ナワーブはものの30秒くらいで残っていたものをペロリと完食した。
「……っ!?…!?」
 あまりの早さに驚いていると、ナワーブが言った。
「いっつも俺が勝ってお前に何か言ってるから、たまには負けてやろうとしただけだよ。まぁ、俺は加減と言うものを生憎知らなかったから、食わなかった」
 優しいな!
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