第14章 イライと一緒END
医務室のドアを叩き、「失礼します」と言って入る。エミリーが深刻そうな顔でいらっしゃい。と言った。視線の先にはイライがいた。
「イライ。」
返事が来るはずがない、と分かっていながらも名前を読んでしまう。
「夏葉さん。非常に言いにくいのだけれど……。イライさん、かなり深くまで刺されてたみたいで……。助かるとは思うんだけど、最悪…」
死んでしまうかもしれないわ、というネガティブな言葉を聞きたくなくて、エミリーの口に人差し指を当てて言葉を遮る。
「生きてね。」
『こんなところで死んでいられないよ』
何だかイライの声がした気がしたけれど、気のせいだろう。私も精神的に疲れてしまったのかもしれない。
「すみません、ちょっと眠って精神を落ち着かせて来ます……。イライ、またね。」
柔らかくてすべすべな、私の大好きなイライの頬にキスをする。そして最後にイライの手を握って温もりを確かめて部屋を出た。
暗くなってきている空を見る。雷鳴のなる、どしゃ降りの雨が降っていた。