第14章 イライと一緒END
視界が、イライの着ているローブの色と、鮮血の色で染まる。頭がちゃんと動かない!!
「イライ君!?誰か、医務室つれてって!!僕、先にエミリーに伝えてくる!」
「ノートン!イライを運ぶからついてきてくれ!」
「夏葉は無事!?大丈夫ね、怪我はない。良かった……。」
トレイシーが医務室のエミリーの元へ走っていき、ナワーブとノートンさんでイライを医務室に連れていく。フィオナが私の心配をして駆け寄って来てくれた。数名を除いて殆ど全員がここ、食堂に来ていた。残りの数人はポカンとして立っていた。まあ、無理はないだろう。目の前で人が刺されたのだ。実際、私もそうだ。
「い、らい………?」
マーサの方に目をやる。私を刺そうとした張本人。イライを刺した犯人。
「……る、……ない…………」
「え?」
フィオナが聞き返してくるけれど、私はそれを無視してフィオナに訊ねる。
「ねぇ……ハンターの、泣き虫…ロビーのところまで、ワープを繋げない?」
彼女は何をしようとしているかすらも聞かずに慌ててワープを繋いだ。
「ん~?なぁに、このワープ?」
ロビーがワープから頭を出す。私はロビーの頭を押し込んで繋がれたワープの中に入った。
「ロビー、こんにちは。」
「夏葉ちゃん、こんにちはぁ。どうしたの?泣いてる?大丈夫?」
私は笑顔で泣いていないよと返して、ロビーの武器である斧を貸してもらえないか訊ねた。
「大丈夫だけど……何で斧を?」
「ちょっと…首を切ってやりたい人がいるんだ。」
そう言うと、ロビー君は「なるほどお!良いよ、貸してあげるね!僕もついていっていいかな?」と言った。ついてきてはいけない理由もないので、承諾して一緒にワープに入った。
「あ、帰ってきた!夏葉、何してたの?」
フィオナが本当に心配そうに聞いてくる。私は何でもない、と言い張った。
そっとマーサの方へ近寄る。
「ねぇ、マーサ。」
彼女がこちらを向いた瞬間に斧を振る。けれど、重たくて空ぶってしまった。
マーサはというと、私の方を泣きながら見ていた。そして、腰を抜かしたのか、犬のように地べたを這いつくばって逃げていた。
「お前は、絶対に許さない」