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曇った空の恋の話【第5人格】

第14章 イライと一緒END


「夏葉、愛してるよ。絶対に離れて行かないし、絶対に離さない。幸せにする。だから、俺のものになってくれないか?」
 イライが、少し頬を紅くしながら言う。
「ん~……一億点満点!」
 そう言って、イライに飛び付く。イライは、最初落ち着きなく心臓を跳ねさせて両手を慌ただしく動かしていたが、少しずつ落ち着いてきたのか、そっと私の背中を抱き寄せた。




後日。
「クッソ!イライ、夏葉!おめでとう!!!めちゃくちゃムカつくしめちゃくちゃ気にくわないけどめちゃくちゃお似合いだぞ!!」
「ははは」
「いやぁ、驚いたよ。まさか、イライと夏葉が付き合っちゃうなんて!仲は良いと思ってたけどさ。僕からもお祝いするね!おめでとう!」
 この荘園は、恋愛などは素直に応援してくれたり、祝ってくれる人が多い。なので、一部の人にイライと付き合った、と話したらいつの間にかフィオナにまで伝わっていて、わずか半日で荘園全体に広まってしまった。
「ごめん、イライ。まさか全員に知られるとは…。」
 私が謝ると、イライは全然気にしていなかったらしく、大丈夫だよと言ってくれた。それに、と続けて私の耳元で囁いてきた。
「これで堂々と一緒にいられるね。」
「…はぁ…ほんと、そういうことしか考えてない…。」
 こんな和やかなムードの中で、弁護士と一人だけ暗いオーラを放っている人がいた。
「ん?マーサ、どうしたの?体調でも悪いの?」
「…………に……」
 マーサがボソボソと言うが、何を言っているのかが全くわからない。
「なんて?」
「私だって、イライ君の事好きだったのに!しかも、あのナワーブ君までフって!さいってい!」
 ああ、なるほど。マーサは面食い&独占欲強いのか。そして、これは嫉妬による理不尽なマーサの怒りか。
 マーサの恨みや愚痴を私は否定するでも肯定するでもなく、頷きながら聞いてあげていた。イライの悪口が出てきたら猟銃で狩って捌いて焼いて食べようと思っていたが、幸いなことに彼女の口からは私の悪口しか飛んでこなかった。
 しばらくして私に言えることが無くなってしまったのか、さらに理不尽な怒りをぶつけてきた。
「なんなのよ、アンタ……!そうやって聞いてるフリしながら内心では私の事バカにしてるんでしょ!?本当に最低ね!」
 そう言って果物ナイフを私に降り下ろしてきた。
「危ない!!」
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