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曇った空の恋の話【第5人格】

第13章 三角関係


「あっ、そうだ。今日こそお酒の入ってないまともなお泊まり会しようよ。二人の予定が空いてたらでいいけどさ。」
 私が誤魔化すようにそう提案してみると、イライとナワーブの二人が口を揃えて言った。
「「夏葉と二人きりでお泊まり会したい」」
「嫌な予感しかしないから絶対やだ★」
 イライは残念そうにため息をつき、ナワーブは何でだよーと私の頬を突っついてきた。さっき散々キスしてきた奴らが何をいうか。((まあ、私も一度は自分から言ったけど…。
 その様子を誰かが見ているなんて、全員思いもしなかった。
「というか、ナワーブはモテるんだから私に執着しなくてもいい女はたくさんいるんじゃないか?」
「はあ!?その言葉、イライにもそのまま言ってやれよ」
「イライには絶対言わない」
 ナワーブがいじけたように、「夏葉は俺なんかよりイライの方が好きなんだ」と言った。まあ、元はそうだな。ナワーブに告白されるまで、ずっとイライが好きだったし。
「まぁ、泣かないで。ほら、ハンカチ。」
 ナワーブの頭を撫でてなだめながら、自分で頑張って縫った薔薇の刺繍のあるハンカチを差し出す。今はこのハンカチしか持っていない。
「……夏葉のハンカチだから、仮面ライダーとかのハンカチ想像してた…意外と女っぽいな」
「おまっ……俺にどんなイメージ抱いてんだよばか!女性力溢れる綺麗なハンカチだわ!」
 私がそういうと、二人が同時に笑った。まあ、二人とも可愛いからよし。
 結局、私たちが三人で話しているのをエマに見られて、ナワーブとイライはエマの部屋に連行された。私が良いと言っても、ダメなものはダメらしい。反省しないから一日は頭を冷やせ、と。確かに、二人は全く反省していなかったから、エマの言う通りかもしれないな。
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