第11章 まさかの展開(2)
私はドアを10回くらいノックした。寝ているとしたらこのくらいしないと起きないだろう。
しばらくすると、ガタンと扉の中から何かが落ちる音がした。そして、また少し経つと中からエミリーが出てきた。寝ていたわけでは無さそうだ。本でも読んでいたのだろう。
「はーい。あら夏葉。こんな時間にどうしたの?眠れないのかしら?」
私がエミリーに事情を話すと、快く二人を止めに来てくれた。多分、長いお説教になるだろう。
エミリーが私の部屋のドアをバンッと開ける。二人もさすがにこちらを向いた。
「こら二人とも!人の部屋で騒ぐんじゃないの!!夏葉が困ってるじゃないの!!」
ちょっとキレ気味なエミリーの言葉に、二人の文句が始まった。
「イライと夏葉が楽しそうにしてたから、少し邪魔したくなったんだよ。エミリーに分かるか!?この俺の純粋な乙女心が!」
「ゴメンチョットワカンナイ」
「ナワーブに夏葉を取られたくなかったから戦を始めただけだよ。騒いでしまったのは、すまない。」
すると、エミリーがふざけているのか何なのか分からない様な発言をした。
「はぁ!?夏葉は私のものよ!!勝手に取ろうとしないでくれない!?」
「え、エミリー?何かの間違いだよね?そうだよね!?」
「「「こうなったら、戦争の始まりだな。」」」
ああ、もうだめだ。エミリーに頼ったのは間違いではない気がするけど……どこで間違えたんだろう……。
どうすることも出来ずにぼーっと喧嘩の様子を見ていると、誰かが部屋のドアをノックした。さすがにうるさすぎたか。
「はい」
「あ、あの……楽しそうにしているところ申し訳ないのですが……えぇえ!?」
イソップが何かを言う前に、助けてもらおうと部屋の奥を指差す。そこには血を出すほどまで戦争をしている三人がいた。
さすがにこれは夏葉さんがかわいそうですね。とイソップが仲介に入りにいった。
「みなさん、騒ぐのは昼間にしてください。今はもう夜ですよ。ほとんどの人が寝ているのだから、静かにしないと。」
「イソップか…これは、夏葉への愛を懸けた戦争だ。お前も、参加するだろう…?」
おいおい待てよイソップまで巻き込むつもりか?いやでも、イソップならこんな誘いに乗らな……。
「そういう事ならいいでしょう。」
乗りやがったわ。