第11章 まさかの展開(2)
「私も君の事が好きなんだよ。友達でも親友でもなく、女性として。だから、ナワーブにはとられたくないんだ。……もっと早くに告白がしたかったな。夏葉、何かがあったら守るし、幸せにする。私と、付き合ってくれないか?」
私の目を見て、ゆっくりとイライは言い切った。そして、段々顔を赤く染めていく。
「ふふっ……イライのクセに顔赤くしてやんの。」
「うるさ…夏葉だって告白したあとはさすがに恥ずかしい気持ちになるだろ!?」
「楽しそうですなぁお二人さん。」
寝ていると思っていたナワーブがベッドの横からひょっこりと顔を出した。
「ひゃっ!?な、ナワーブ、寝てたんじゃないの?」
「ああ。寝てたぜ。イライが告白し始めた辺りで起きた。この睡眠薬は、俺には効かないみたいだぞ、イライ?」
「言いたいことは伝えられたからいいんだよ。」
「そうか。」
二人がお互いを睨み付けながら話す。随分と落ち着いた喧嘩だ。大人の喧嘩っぽい感じはした。二人とも明らかに殺意や敵意は向けているが、それをあまり表に出していない。普段のナワーブならここで怒鳴りながら何か言うだろうし、イライもそれを軽く受け止めて「はいはい」とか言っているだろう。
なんだか空気がめちゃくちゃ冷めている気がした。
「まぁまぁ。二人とも落ち着いて……。静かな殺意向け合わないで。」
その空気に耐えられずに私がそう言うと、二人はそれを合図に同時に話聞いてたのか?と言いたくなるような発言をした。
「「戦争を始めようか。」」
(ウソダロ)
そして、本当に手を出し合う喧嘩に発展してしまった。私はしばらくの間喧嘩をやめさせようと試みたが微妙に激しくなるだけなので、ここは誰か大人に頼るしかない、ということでそっと部屋を抜け出してエミリーの部屋へ向かった。