第1章 本文
「うわっ!」
「きゃっ!」
「っててて⋯⋯」
「あの、ごめんなさい⋯⋯って拓也!」
「い、泉!」
拓也がぶつかったのは、泉だった。後から追いかけていた友樹が拓也に追いついた。
「なんで拓也がここに!?」
「それを言うならこっちの台詞だ!お前らこそ何してんだよ、こんなところで⋯⋯」
「僕と泉ちゃんは、今デート中なの!ねぇー泉ちゃん♡もしかして拓也、俺たちの後をつけて⋯⋯」
純平はわざとらしく言った。
「んなわけねーだろ?なぁ友樹?」
「え、あ、うん。拓也お兄ちゃんは、輝二さんとこうい──」
「わあぁぁぁ!」
いきなり大声を上げた拓也に、みんなの視線が突き刺さった。そして泉は何かに勘付いた。
「ははーん⋯⋯拓也は輝二たちを追っているんだー?」
「な、何馬鹿な事言って⋯⋯」
「そうそう、二人なら公園の方に行ったわよ♡」
「⋯⋯友樹、行くぞ」
「あ、ちょっと、拓也お兄ちゃん!」
拓也は少し複雑な気持ちになったが、友樹を連れて走って行ってしまった。
「純平、行くわよ」
「い、泉ちゃん!?行くってどこへ?」
「そんなの決まってるじゃない!つけるのよ」
泉は急いで追いかけていった。
「ちょっと待ってよ~。泉ちゃん!」
純平も泉の後を足早に追いかけていった。違う意味で、二人も共犯(?)になったのだった。