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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第75章 静かな時


「炭治郎戻ってきたぞ!食っていいか?」
「待て!皆でいただきますしてからだ」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、お茶入ったよ」

炭治郎と光希は伊之助たちを見て笑う。

「この家が、また賑やかになってよかったね」
「うん。善逸と伊之助には感謝してる」
「これならきっと……叔父様や叔母様も、安心してるね」
「……やめてくれ。また泣いちゃうから」
「ふふふ」

「早く来い!炭治郎!光希!」
「ああ。光希、お土産、いただいていいか」
「もちろんだよ」

炭治郎と光希も部屋の真ん中に置かれたちゃぶ台に座り、皆でわいわいお菓子を食べる。お茶を飲みながら一息ついた。


光希はお菓子もそこそこに、また先程の柱の所に行く。
上の方の、真新しい傷を見た。

「へえ……」
「今、俺が一番なの」

善逸が得意気に言った。
『善逸』『伊之助』『炭治郎』と僅差だが三本線が引かれている。

「炭治郎が一番チビだ!」
「……俺はここから伸びるんだ」
「ウイッヒッヒ」

線は三本とも思ったよりも上の方で、彼らがすくすくと背を伸ばしていることがわかる。

「お前も測るか?」

善逸が指についたカステラを舐めながら光希の隣にくる。

「………いいよ」
「なんだよ、ほら立てって」
「いい!」
「あはは、なんだよ。悔しいのかよ。もう、ぜってえ俺らには追いつけねえって。競おうとすること自体無理だってんだ」
「わかってるよっ」
「へへへ」

「私は背比べには参加しない。これからの三人の戦いを見守るよ」

光希は、柱の傷を上から下まで順繰りに見ていく。
もう成長の止まってしまった傷と、これからも高く伸びていくであろう傷。柱に刻まれた、そのどれもが愛しく思えた。


「さあて、誰が一番大きくなるかな」

「俺!」
「俺だ!」
「俺が勝ぁつ!」

男子が同時に叫び、光希は笑った。

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