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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第75章 静かな時


炭治郎たちが家に帰った数日後。
善逸は冨岡邸にやってきた。

「ご無沙汰しております」

挨拶をする善逸に、千代が嬉しそうに駆け寄る。

「善逸くん!久しぶりね。怪我はもう大丈夫なの?」
「はい。ご心配をおかけしました。もうすっかり治りましたよ」
「あら……だいぶ背が伸びたわねぇ」

千代は善逸の頭に手を伸ばし、にこにこしながら撫でる。善逸は顔を赤くして俯いた。


「えっ!善逸、もう来たの?早くない?」
「ごめん、早く着いちゃった」

奥の部屋から光希が顔を出して声をかける。

「ちょっと待って」
「大丈夫だよ。千代さん、冨岡さんはご在宅ですか?」
「ええ、居らっしゃるわよ」
「ではご挨拶させていただきます」

善逸は屋敷にあがり、義勇の部屋に行く。

「失礼します」
「入れ」

部屋に入ると、文机に向かっていた義勇が善逸に身体を向ける。

「あの、今日は、」
「夕方までには返せ」
「……はい、善処します」
「必ずここまで送り届けろ。最近のあいつはすぐ男に絡まれる。まあ何かされるほど弱くはないがな」
「わかりました」

すると、廊下をバタバタと走る音がする。

「光希!これ、どこ置く?」
「えっと、小さい方の行李!」
「布類は?」
「横にまとめといて!」

善逸と義勇は音の方へ顔を向けた。

「私塾の準備、だそうだ」

義勇が説明をする。

「光希、忙しそうですね」
「相変わらず走り回っている。……お前はゆっくりできているのか」
「はい。炭治郎たちとのんびり暮らしています」
「そうか」


光希の新たな仕事。
それは、学問所の先生だった。

生家で子供向けの私塾を開設し、まだ事業を始めたばかりだが、その独創性に溢れた学習スタイルが既に巷で話題となっていた。
光希は、村田と竹内を雇って仕事をしている。二人は光希のやりたいことを理解してちゃんと動いてくれている。

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