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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第75章 静かな時


光希、義勇、不死川の三人は蝶屋敷でそれぞれの用事をする。

不死川はカナヲに鏑丸を渡し、義勇は鱗滝と話す。光希は炭治郎、伊之助、善逸らと面会していた。
会議で話されたことを皆に伝えて、休憩する。アオイがお茶を入れてくれた。

「光希のその格好、久々に見るよ」
「そうだね。ずっとしまってあったし」
「やっぱり赤い釦は凛々しいな」
「ありがと、炭治郎。これが見納めだよ」

「見納め?」

善逸が煎餅を食べながら聞く。

「うん。もう着ない。私の仕事は終わった。全部」

光希はお茶を飲んで、ふぅと息を吐く。

「そっか。そうだな。……お疲れ様でした」

炭治郎が光希に頭を下げた。

「お疲れ様でした」

善逸も頭を下げた。
伊之助が煎餅を食べ散らかしながら光希を見ているのを、炭治郎と善逸が頭を下げさせる。「何すんだ!」と伊之助は言ったが、二人の手を払いのけると自分で頭をペコリと下げた。


「皆、お疲れ様でした」

光希も男子達に頭を下げて、柔らかな笑顔をみせた。


「光希。俺たち療養期間が終わるから、皆で俺の家に来ることになってるんだけど、一緒に来ないか?」
「炭治郎の家?」
「そう。しばらくは禰豆子と四人で暮らそうと思ってる」

善逸は隠れ家ではなく、炭治郎の家に帰るようだ。

「ごめん、私は行けないや」
「そうか……」
「でも、お墓参り行きたいから、そのうちお邪魔したいな?案内頼める?」
「ああ!勿論だ」

両親の墓参り。
光希がずっと望んでいたことである。



しばらく三人と話したあと、食事にいく義勇と不死川の二人を見送り、庭で善逸と二人になる。
池のほとりに並んで座った。

「見納めの隊服姿、目に焼き付けとこ」
「あはは、どーぞ」
「隊服、捨てちゃうの?」
「燃やす」
「へ?まじで?」
「うん!」

空を見ながら、ケラケラと笑う光希。

この服には俺の知らない辛い思い出が多く染み付いてんだろうな、と善逸は思う。


満開の桜が、風に揺れて花びらを散らす。
二人を花吹雪が包んだ。


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