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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第74章 最後の仕事


「そっか……前の時みたいに、手紙のやりとりも出来ないんだな」
「うん。緊急で何かあったらチュン太郎にお願いして」

善逸は俯く。

………やばい、泣きそう

そのまま黙ってしまった。


「善逸、寂しいときは歌をうたって」

光希は善逸に微笑みかける。

「……うん。そうだね。俺たちにはそれがあったんだ。お前にもらった写真もある」
「そうね」
「戦いで無くしたくなかったから、隠れ家に置いてあるよ」
「うん」

善逸は椅子から立ち上がり、光希を抱きしめた。

「早く仕事終わらせてね」
「うん、頑張るよ」
「でも無理しないでね」
「うん」
「俺の他に好きな男も作らないでね」
「うん」
「たまにでいいから顔見せてね」
「……注文多くない?」

「ねえ……俺の事、ずっと好きでいてね」

善逸は、ぐ…と抱きしめる力を強めた。

「それなら、絶対に大丈夫」

光希は善逸の背中に手を回し、トントンと叩いてやる。

「あと……」
「まだあるの?」
「髪の毛、伸ばして。腰まで」

「二年はかかるよ」
「じゃあこの際、肩につくまででいいや。そんなに待てねえ。取られちゃう」
「髪短いの、楽なんだけどな」
「切っちゃ駄目。髪が伸びたら、迎えにいく」
「…………」

「離れてる間、お前を手に入れる為にいろんな作戦考えるからな。覚悟して待っとけよ、我妻光希」
「……戦略で私に挑むの?」
「おう」
「いい度胸だ。お手並み拝見といこうか」

善逸に抱きしめられたまま、光希は久々に低めの声でそう言ってクスッと笑う。



二日後、光希は手伝いをしてくれていた村田、竹内と共に蝶屋敷を出ていった。

善逸は、彼らに威嚇はしたものの、泣いたりぐずったりせずに彼女を見送った。

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