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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第74章 最後の仕事


善逸は盛大に眉を寄せるが、それ以上の文句を言わない。

「炭治郎、体調はどう?」
「ああ、だいぶいいよ」
「良かった。善逸がやかましくて休めないよね、ごめんね」
「おいこら」
「叫び声が廊下まで聞こえてたよ。炭治郎はまだ無理できないんだから迷惑かけちゃ駄目でしょ」
「だって……」

「光希、俺は別に大丈夫だよ」
「駄目。ちゃんとしっかり休んで」
「うん」

「はい、善逸、行くよ」
「え?」
「ちょっと私、休憩するから。部屋来ていいよ。ほら、行くよ」

光希は善逸を椅子から立たせる。
善逸はもう杖無しで歩けるようになっていた。

「じゃあ、炭治郎。うるさいの連れてくね」
「おい、俺の立ち位置!」
「ちゃんと休むんだよー」

そう言って部屋を出ていく光希。
入れ替わりにカナヲの手を引いて部屋に連れていき、ベッド脇の椅子に座らせた。

「一時間したら、すみが迎えに来てくれるからね」

カナヲにそっと耳打ちして、今度こそ炭治郎の部屋を後にする光希。
炭治郎とカナヲは顔を赤くしながらも、嬉しそうにしていた。


光希は善逸と連れ立って自室へ行く。
部屋には誰も居なかった。

「善逸、炭治郎を独り占めしちゃ駄目。カナヲとの時間も過ごさせてあげないと」
「まあ、そうだね」

光希はお茶を入れて、部屋にあったまんじゅうを出す。

「いいの?」
「うん。皆が持ってくるの」
「……さっきの男もなんか持ってたな」
「そうねー」

善逸はまんじゅうを口に入れる。

「……うまい」
「よかった」

複雑な気持ちでまんじゅうを食べる。
贈り物を持ってくる男は他にもいるのだろう。

「休憩、いつまでなの?」
「あと一時間弱かな」
「働きすぎ」
「いや、戦いの前はもっと忙しかった」
「まじかよ……」

光希は机の上に散らかった書類を仕分けする。
右手もだいぶ動かせるようになってきている。

「善逸」
「なに?」
「私、義勇さん家に行くよ」
「……え?」

突然の提案に驚く善逸。

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