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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第74章 最後の仕事


炭治郎は俯き加減で善逸に言う。

「確かに、痣の事は俺も思うよ」
「……そうか」
「うん。光希が善逸との未来を躊躇するのは、わかる。俺も、そこは悩むから。あと十年……いや、俺は皆より早く痣が出てたから、もっと短いのかもしれない」
「炭治郎……」
「だから、俺もちゃんと話すよ、カナヲと」
「……求婚もしてねえくせに」
「うぐっ…、するよ!」
「出来るのか?光希の力無しで」
「出来るよっ!」

炭治郎が顔を赤くする。

「あー、羨ましいなあおい!相手がいて幸せそう!!」
「善逸も頑張れよ」
「え、あれ?何か立場が逆になった?うわあぁぁ!悔しいね、これ悔しいやつだわ!」

善逸が頭を抱えて騒ぎ出す。
するとそこへ飛び込む声。

「うるさい!善逸!」

二人が振り向くと、光希が立っていた。

「光希!」
「炭治郎はまだ安静なの!なにしてんの」
「いや、俺は別に……」

「だって、光希が構ってくれないから」
「仕方ないでしょ」
「仕事なのはわかるよ、でも、」
「……しっ!」

光希はそう言うと、慌てて炭治郎のベッドの裏側に隠れた。

「へ?」
「どうした?光希」

男子二人が驚いて隠れた光希を見ると、彼女はスッと気配を消した。口元には人差し指を立てている。

すると廊下に一人の男が現れる。手には何やら包みを持っている。男はキョロキョロすると、開けっ放しになっていた部屋を覗き込み「なあ、如月を見なかったか?」と善逸に聞く。

「さあ、ここには来てませんけど」
「そうか。……お前、如月と別れたんだよな?」
「……ええ。それが何か?」
「いや、何も。確認しただけだ」

男は部屋から出ていった。

「お前……何、男に言い寄られてんだよ」

不機嫌丸出しの善逸が、小さな声で光希に呼びかける。

「知らないよ」
「誰だよあいつ!」
「隊士だよ」
「小隊長?」
「違う」
「じゃあなんであんなに馴れ馴れしいんだよ」
「階級が高いの。今、負傷兵の洗い出しを頼んでる。仕事は出来るんだけどね……押しが強いのがなんとも……はは」

光希は疲れたように笑う。

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