第74章 最後の仕事
年が明け、数えで善逸は十八歳、光希は十七歳になった。とはいっても十二月生まれの光希はつい最近十六になったばかりである。
そして三が日が過ぎると、鬼殺隊が戦後処理を始めた。
光希の部屋にはいつも誰がか居て、彼女は毎日忙しそうに仕事をしている。一週間程経っても全く落ち着く様子がない。
「善逸、そんな顔するなよ……」
不貞腐れている善逸の隣で、炭治郎が苦笑いをした。
炭治郎は年始と共に目覚めた。
しかしまだ身体が動かせず、すぐに寝てしまう。短時間とはいえ、鬼になった身体というのはダメージも相当なのだろう。そもそも鬼化する前に一度仮死状態になっている。こうして生きていることが奇跡なのだ。
「光希がまた仕事の虫に戻っちゃった!!戦い終わったのに!!俺、ずっと放ったらかしだよ!!酷くない?ねえ!!」
炭治郎は目覚めている時間で、善逸の相手をしてくれていた。善逸は炭治郎にすがりついてえぐえぐと泣く。
「仕方ないだろ。最後まできっちりやりたいんだよ、光希は」
「まあそうなんだろうけど!でも、俺は気が気じゃねえよ。あーもー!後処理なんて大人がやればいいじゃん!!」
言ってみれば光希は今、恋人が居ない状態だ。そんな彼女の部屋にいろんな男が出入りしているのは善逸的には我慢ならない。
「今は俺がどうこう言える立場じゃないんだけどさ……」
「善逸……」
炭治郎も二人が別れたことを知っている。
目覚めてすぐに光希が謝りに来て、その時に聞いた。勿論、炭治郎は怒ってないし、逆に炭治郎が光希にお礼を言い、二人の口付けの件は解決している。
なのでてっきり復縁するものと炭治郎は思っていたのだが、光希は首を縦に振らない。