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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第10章 想い


何故『恋人(仮)』なのかというと、

仮にでも恋人の称号を与えておかないと、善逸はまた何かと自信をなくして落ち込むかもしれない。
しかし、光希は恋人と名乗るにはまださほど善逸のことが好きではない、というのが(仮)の理由だった。

光希は「そんなことはない!ちゃんと好きだ!」と主張しても「だったらいちゃいちゃしてる時に飽きてんじゃねぇよ!」と善逸に切れられたので仕方ない。

二人で出した折衷案が『恋人(仮)』なのだ。

そして、二人が仮ではあるものの恋人同士であることは、あまり公にしないこととした。光希は隊内でかなり人気があるため、善逸がやっかみの対象にならないためだ。
勿論、仲のいい炭治郎や伊之助には言うつもりでいた。


「冨岡さんにも、言っといてくれよ……」
善逸がボソリと言う。

「え?」
光希は「何で?」と聞こうとしたが、すぐに理解し「ん。わかった」と返す。
善逸はホッとしたような顔をする。

流石にもう二人の仲を疑ってる訳じゃないだろう。ただ、どうしても不安なんだろうな、と思う。

「義勇さんには、ちゃんと俺から言っておくよ。恋人が出来ましたって」

光希が善逸の頭をポンポンと手を触れる。大丈夫だ、心配するな、というように。

「ありがとう」
「おー」
「……面倒くさい奴だなって思ってるな」
「………」
「やっぱり!」
「……少しな」
「ほらな!ほらな!どうせお前にはモテないやつの不安な気持ちなんてわかんないんだ!」

オロローンと泣く善逸を冷ややかな目で見つめる光希。


―――これが、恋愛、というやつか。想像以上に面倒くさいな…でも……


「面倒くさいけど、仕方ねぇな」
「……ふぇ?」

「お前……善逸を選んだのは私だし、私は善逸じゃなきゃ駄目だしね」
「光希……」
「恋愛が面倒くさいものなんだったら、私は善逸とそれをやるだけ。誰かと恋愛するってのは、私側も努力は必要なのよ、きっと」

むん、と両の拳を握る光希。
真面目な性格なので、恋愛にも頑張って取り組むようだ。


「と、いうわけで、今日はもう帰っていい?」



前向きな彼女(仮)のその言葉に、善逸はもう頷くしかなった。


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