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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第73章 年越し


光希の背中に回っていた善逸の手が肩に移動する。

「じゃ、今年は俺から言うね」

善逸はそう言うと、光希の身体をそっと離す。
両肩に手を置いたまま、光希の目をしっかりと見て言った。

「抱負。俺は今年も変わらず光希を愛し、必ずまた恋人にすると誓います。元旦、我妻善逸」

堂々と新年の誓いを述べて、善逸はにかっと笑った。


「はい、じゃ、光希どうぞ」

光希の顔を覗き込んで、善逸が言う。

「………抱負。私は……」
「私は?」
「……私は…」
「…………」

その後を続けられない光希。
思わず善逸から目を逸らそうとする。

「目、逸らさない」
「………うん」
「ちゃんと俺を見て言うんだろ?」
「うん」


光希は善逸を見つめる。
大きく息を吸って、誓いをたてる。


「私は、貴方との…この先の事を、もう一度考えてみます。時間がかかうかもしえないけど、逃げずに考えうと誓います。……大切な貴方のために。元旦、如月光希」




『あけましておめでとうございます、善逸』
『あけましておめでとうございます、光希』

ペコリと頭を下げ合う子ども二人。
遠い日の記憶。

『抱負!今年も元気に風邪など引かず、沢山遊んで頑張ります!元旦、如月光希』
『抱負!今年は寝坊をせずに光希より早く起きます!元旦、我妻善逸』

『こら!真っ直ぐ俺の目を見ながら、新年早々大嘘付くんじゃねえ善逸!』
『嘘じゃねえよ!出来る!俺は頑張るんだ、今年は!』
『ったく……お前の抱負は毎年三日と持たねえもんなぁ。出来もしないことを目標にすんなよ』
『言ったな!見てろよ!』
『同じこと去年も聞いたぞ!一度でいいから叶えてみせろ!』



「……俺の抱負、今年初めて叶うんだな」
「それはどうかな」
「なんなら今日中に叶うかも」
「あはは、それはない」

善逸は両手を光希の頬に添えて、彼女の額に口付けを落とす。

「希望の抱負をありがとう、光希。いい一年になりますように……」

彼女をぎゅっと抱きしめて、祈りを込めて呟いた。


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