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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第73章 年越し


調子に乗って、頬に何度も口付けをする。
しかし、「んー……、くすぐったいよぉ……シロ……ふふふ」と光希が言い、彼は脱力した。


昔、宿屋付近に住み着いていた犬・シロ。光希と善逸はよくシロと遊んでいた。

「誰がシロだっ!!どっちかっつーと俺はキイロだ!」と自分でもよくわからない突っ込みを入れると光希の目がゆっくりと開いた。

「ん……、え?」
「よう、起きた?」
「えっ……、なにっ」

目の前に善逸の顔があり、完全にのしかかられている状態だとようやく気が付く光希。驚いて目が覚めた。

「……あ、あの、善逸くん」
「はい、なんでしょう」
「どーいうことでしょうか」
「好きな子が目の前で寝たら、こうなるよってこと」
「………どいて」
「断る」
「寝ちゃってごめんね?」
「ん?まあ、いいよ」

ベッドの上で身体を密着させながら、超近距離で会話をする二人。善逸は光希の額に口付けをする。

「あ……の」
「口にしたい」
「や、その……」
「したい」
「だ、駄目だよ」
「なんで?」
「なんでって……」

「俺、お前が寝てるとき、口にはしなかったよ」
「…………」
「ちゃんと起きてる時にしたかったから」
「…………」
「そんなに困った顔、しないでよ……」

光希が目を逸らしたので、善逸は身体を離して起き上がる。光希も身体を起こす。

善逸が離れたので、ひんやりとした空気に身体が震えた。光希は綿入れの半纏を取って羽織る。

ベッドの上に並んで座り、少し沈黙になる。


「……今日は大晦日でしょ?」

善逸は静かに話し出す。

「いつもみたいに、新しい年を光希と一緒に迎えたかったんだ」
「うん」
「疲れてて眠いのに、ごめんな」
「ううん」

光希は首を横に振る。

「今年一年、いろんなことあったな」
「本当にね」
「ありすぎて、振り返りが追いつかないな」
「じゃあ、年明けまで、思い出していこうか……一緒に」
「……うん。二人で振り返ろう」

善逸は光希の肩を抱き寄せる。
光希も嫌がらずに善逸の肩に頭を乗せた。

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