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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第73章 年越し


「ん?」
「おや」

風呂上がりが同じだったようで、廊下で会う光希と善逸。

「善逸、おやすみ」
「……後で部屋行く。いい?」
「私、結構眠いんだけど」
「行く」
「じゃ、早めにね」
「わかった」

善逸は風呂セットを置きに、一度自分の病室に帰った。寝仕度を整えて、温かい格好で光希の部屋に向かう。

部屋に行くと、光希はベッドの上で髪を乾かしながらうとうとしていた。

「こら、まだ乾いてないのに寝るな」
「んー……、眠い……」

善逸は額の傷に気を付けながら髪を拭いてやる。
自分と同じくらいの長さになった髪。アオイに切りそろえてもらい、ショートボブ程の長さになっている。

髪を拭かれる感覚が気持ちよくて、光希はどんどん眠気に誘われていく。
善逸が話しかけても「う…ん……」などの不明瞭な答えしか返せずに、髪を拭き終わった善逸が頭から手を離すとそのままぱたりとベッドに横になった。

薄く開かれた口からは寝息が聞こえ、安心しきったような顔で寝ている。流石にこうも無防備に寝られると、善逸も困ってしまう。

善逸は横から寝顔をまじまじと覗き込む。
痩せたからなのか、雰囲気が変わったのせいなのか、最近少し大人っぽくなった気がしていた。でも目の前にある寝顔は、子どもの時のままのあどけなさが残っている。

ギシッ……と音を立ててベッドに体重をかけ、光希に身体を寄せる。

「……これは、お前が悪いだろ」

そっと光希に跨り、顔の横に手を付き顔を近付ける。

「起きねえの……?接吻しちゃうよ?」

別れてからは、唇への口付けをさせてもらえなくなった善逸。目の前の柔らかそうな桃色の唇に、暴走寸前である。

「てかさ、こんな状況で起きないってヤバくね?俺じゃなかったらどうすんだ、おい」

近距離で話しかけても光希は起きない。
善逸は頬にちゅっと口付ける。

すると光希は寝ながら少し微笑んだ。

「!!」

善逸は驚く。
いつもは頬や額でも「こら!」と怒られるのに。

「……なんだやっぱり嬉しいんじゃん。本当に意地っ張りなんだから」

善逸は目を細めて笑う。

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