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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第73章 年越し


伊之助と光希が蝶屋敷に帰ると、善逸は禰豆子と和室でお茶を飲んでいた。

帰ったぞ、と声をかけようとする伊之助を光希が止める。

善逸は、頬を染めて禰豆子と話をしている。禰豆子も善逸の話を聞き、くすくすと笑っている。
二人とも、光希達に気付いてない感じだ。
その様子をじっと見つめて、光希は伊之助を連れてその場を離れた。


「……いいのかよ」
「いいんだよ」
「お前と善逸が恋人じゃなくなったからか?」
「そうだよ」
「ふうん」


伊之助は屋敷に入るとすぐ、着せられていた羽織を脱いで光希に渡した。

「寒くないの?」
「寒くねえ!もぞもぞして嫌なんだよ!」
「あはは」
「腹減った!アオイになんかもらってくる!お前も食うか?」
「私はいいよ」
「じゃあ、また晩飯の時な」
「うん。あ、伊之助」

走ろうとする伊之助に呼びかける。

「ん?なんだ?」
「あいがとう」
「おう」
「伊之助がついてきてくえて良かった。迷惑かけちゃってごめんね」
「迷惑はかけてねえ。気にすんな」

伊之助は照れくさそうにしながら、廊下を走っていった。


光希は泥だらけになった手を洗って部屋に戻る。
窓を開けて外を見た。

夕焼けが綺麗に空を染める。
一年が、終わる。

怒涛のように駆け抜けた一年だったなぁと夕焼けを見ながらしみじみと思った。


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