• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第72章 笑顔を見せて


光希はメモ用紙に文字を書き始めた。
善逸は、彼女が綴る想いを読んでいく。


『ごめんなさい。でも、私は貴方にどうしても幸せになってほしい。それだけは絶対に諦めたくない。それが私の全てだから』

「光希……」

『貴方はきっといいお父さんになる。優しさと強さを持っているから。それを、どうか次に繋げて欲しい』

「…………」

『家族を作ってください。小さい頃、私と家族になってくれたように』

「…………」

『貴方を愛してくれる女性は必ず現れる。私に遠慮せず、その人を全力で愛してあげてください。そして、貴方そっくりの女の子が産まれたら、盛大に親ばかになればいい』

光希は善逸を見て笑った。


「……男だったらどうすんだ」
『泣き虫の呼吸を教えてあげて』
「おい、俺の息子は泣き虫確定か」
「ふふふ……」


『それが私の願い。全部私の我儘。勝手なこと言ってるってわかってます。ごめんなさい。炭治郎とのこともごめんなさい。辛い思いばかりさせてごめんなさい』



光希はそう書き、「ごめんなさい」と口に出して善逸に深く頭を下げた。



善逸は承諾書をもう一度見る。


「……光希、筆貸して」

覚悟を決めた。


光希は立ち上がって筆を準備する。

墨を付けた筆を善逸に渡すと、彼は空欄にサラサラと署名した。


あまりにもすんなりと書いたので、光希は拍子抜けした。もっとごねると思っていた。



「はい。これでいいか?」

善逸は光希に聞く。


「ありがとう」
「うん」


これで二人は婚約者ではなくなった。


/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp