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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第71章 運命の子


炭治郎はゆっくりと目を覚ます。
涙で歪んだ世界に、自分を覗き込む仲間たちの心配そうな顔が見える。


「………ごめん、怪我……大丈夫…か……」


最初に発したのが、皆を気遣う言葉だった。
その炭治郎らしい言葉に、ワアァァと皆が沸き立つ。

禰豆子、伊之助、義勇が無事であることが見えた。遠くにカナヲもいる。ほっとして笑い合う。


しかし……

隣から善逸の声が聞こえた。


「光希!光希……っ!!」

「善逸……」
「炭治郎……、光希が戻ってこねえんだ。お前、光希に会わなかったか?」

炭治郎が横に目線を向けると、白い顔をした光希が倒れている。


「おい、光希!炭治郎は帰ってきたぞ!お前も帰ってこいよぉ……どこで迷子になってんだよ馬鹿ぁ」


善逸はボロボロと涙を流して、足が痛いだろうに、彼女の頭を膝に乗せて呼びかけている。
血が気管に入らないよう顔は横に向けられており、口の端からは血が溢れている。


その様子を見た炭治郎は、背筋が凍る。


「え、光希……、嘘…だろ?」
「お兄ちゃん……」
「俺、向こうで会った。会ったよ…光希に……」
「おい、動くんじゃねえ、炭治郎!」
「俺を迎えに来てくれたんだ。こっちだよ…って……」

炭治郎は起き上がろうとする。
しかし、力が入らない。頭がくらりとする。

「……ぐぅっ…、」
「炭治郎、駄目だ、動くな!」

炭治郎は右手で額を押さえる。

「俺の…手を引いて……光の所に連れてってくれて……」

目から涙がどんどん溢れる。

「俺を……押して…『さよなら』って……ううっ………めっちゃん……」

善逸は、光希から目をそらさないまま炭治郎の話を聞く。


「……んだよそれ。ざっけんなよ」


善逸が低い声で呟く。


「お前…このやろ……。何、炭治郎に『さよなら』とか言っちゃってんのこの馬鹿!俺に…俺に別れを言わずに……どっかいっちまうとかさ!なんだそれ!そんなの駄目に決まってんだろ!!とりあえず今すぐ帰ってこい!説教させろ!!」


善逸は叫び、震える腕で光希の身体を揺する。

光希の反応は無く、口からまたコポッと血が溢れた。

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