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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第70章 最強の鬼


善逸が隠の手を借りて炭治郎に接近し、ガバッとしがみつく。禰豆子への攻撃をやめさせようと炭治郎の頭を後ろから抑え込んだ。


「炭治郎やめろ!!禰豆子ちゃんだぞ!元に戻ってる!人間に戻ってる!!こんなことしたら死んじゃうよ!お兄ちゃんて呼んでるだろ」


善逸は泣きながら必死で呼びかける。
願いを込めて叫んだ。



グワウと大きく口を空いた炭治郎を、今度は伊之助がぶん殴る。


「やめろ!ガーガー言うな!禰豆子に怪我とかさせんじゃねえ!お前はそんな……そんな奴じゃないだろ!!」


号泣しながら炭治郎をボカスカと殴る伊之助。何発かは善逸にも入っているが、「元の炭治郎に戻れよォオオオ!!」と呼びかけた。



しかしどんどん鬼化が進む炭治郎。

ガァッと大きく衝撃波を出して、善逸と伊之助を吹き飛ばした。義勇は衝撃波から光希を庇うが、こちらの二人も飛ばされる。
近くにいた伊之助と善逸は、光希たちよりダメージが酷く、ゲホッと血を吐いて転がる。


「光希、大丈夫か」
「義勇さん……、俺はいいから、皆を守って」
「光希……」
「柱は、皆を守るのが仕事、でしょ。炭治郎に誰も殺させたくない」
「ならば、お前も守らなければいけない」
「俺はその外だと思ってくれれば、いい」


光希はゆっくりと立ち上がる。


「おい、光希……」


光希は暴れまわる炭治郎から目を離さないまま、戦場をじっと見つめる。

光希は気付いていた。
カナヲが動いていることを。


「俺は、間違えた」
「光希?」
「戦うんじゃ、ないんだ」


ふらふらと動く光希。
炭治郎に近付いていく。


「やっと……頭が冴えて来たよ。手掛かりはいっぱいあったのに、見落としまくってたよ」


炭治郎は更に鬼化が進み、背中から無惨のような管が何本も生え、隊士を攻撃していく。


「全く……何やってんだか。俺も、お前も」


自虐的な笑みを浮かべる。


「なあ、炭治郎。お前が無惨に取り込まれてから、俺は散々だぜ。やってくれるね……」


「光希!近付くな!」
「……いんだよ」


義勇は光希に声をかけながら、周りの隊士を助けていく。


「炭治郎は、俺を殺さない」


光希は小さく呟いた。


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