第69章 命の限りに
光希は刀を無惨の胸に突き立て、ぺっと口からどんぐりを吐き出す。
左手に三つのどんぐり。
刃にどんぐりを当ててサクッと切り込みを入れ、大きく空いた無惨の口に手ごと突っ込む。
光希が素早く手を引き抜いた途端、無惨の体内でどんぐりが爆発した。
「がふっ…」と無惨が吐血する。
宇髄特製の火薬をぱんぱんに詰めたどんぐりだった。
「美味しいかい?まあ、お前にゃ大した効果はないだろうけどな」
光希は突き立てた刀を利用して、今度は自分の髪を結んでいる根本からザクっと切る。光希の髪は、首の辺りでザンバラになる。
切った髪を今度は腹に空いた無惨の口に突っ込む。
「髪の毛ってさ、血と成分が同じなんだって。俺の血、たぶん鬼には毒みたいなもんなんだよね」
手を引き抜く際ガブッと噛みつかれた。しかし溢れ出る血を飲んだ無惨は、すぐさま光希の腕を吐き出した。
「ね?不味いんでしょ、俺の血」
血まみれになった自分の腕を見て、「吐き出すことないだろ、失礼だなあ」と光希が笑う。
腹に赫刀を刺され、外からは太陽にやかれ、体内からはえぐるような痛みがくる。
無惨は苦しみながら、己が助かる方法を考える。