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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第69章 命の限りに


限界を超えて走った光希。
転がったまま立ち上がれない。
呼吸もうまくできない。


………早く、回復、しないと……炭治郎、伊黒さん……


ぼやける視界の中で、無惨の動きがピタリと止まる。珠世の薬が効いてるのだとわかる。


………好機なんだ…今が……動け、身体っ!!


光希がぐぐっと身体を起こした時、無惨が炭治郎と伊黒に向けて大技を放つ。

禍々しい光と共に放たれる衝撃波。

無惨に向けて突撃していた二人は、モロにくらった。


――――炭治郎!伊黒さん!!


叫びたいが、声が出ない。
駆け寄りたいが、身体が動かない。


――――なんだ?今のなんだ?やばいやつだろ


伊黒は吹っ飛び、炭治郎は無惨の血鬼術で戦闘不能になっている。


――――もう少し…もう少しなんだ……逃してたまるか……


光希は呼吸もろくにできないままなんとか身体を起こそうとする。右肩に強い痛みが走り、呻いてよろける。


「ぐっ…うぅ……、た…んじろ……伊…黒さ……」


起き上がれずにドサッと倒れ、また呻いた。
意識が朦朧とする。



そこへかかる、よく知った声。


「光希!炭治郎!生きてるな?!」
「うおらぁぁぁぁっ!!!逃げんなこの野郎!!!」


その声を聞いた途端、俄然湧き上がる力。
もう動かないのかと思っていた手が、足が、そして何より心が熱を持つ。


伊之助が無惨に斬りかかって足止めをする。
その伊之助が無惨に捕捉されたら、すかさず善逸が助けに入る。

戦いながら、善逸は痙攣で動けない炭治郎に呼びかける。

「炭治郎!生きることだけ考えろ!お前は死なない!生まれ育った家に帰るんだ!!」

光希も力を振り絞って叫ぶ。

「炭治郎!考えろ!打開するんだ!出来る!頑張れ!!」

刀を右に差し、光希は再び立ち上がる。
右腕はもう使えない。


善逸の霹靂一閃に対応できるような技は出せない。伊之助の二刀に合わせての連撃技も、もう出せない。

つまり、逆転の呼吸で二人の技を強化する事はもう出来ないということ。

それでも、この三人の強い絆は個々を強くする。



「善逸!伊之助!踏ん張るぞ!!」
「おうっ!!」
「おっしゃあ!!」


――――ありがとう


勇気をくれた二人に、心から感謝をした。


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