第69章 命の限りに
「光希!避けろーー!!」
「!!!」
炭治郎が無惨を追いかけながら武器の投擲を始める。
光希は当たらないように道の真ん中を避け、道の端を走行し始める。
武器によるダメージが怖いのか、無惨は炭治郎からの刀を壊しながら走る。
――――よし!追いつける!!
「いい加減、やられとけっ!この馬鹿野郎っ!!」
光希はその隙をついて無惨に並び、そのまま一足飛びに無惨を―――
力の限りに蹴り飛ばした。
ドガッ……!
鈍い音がした。
誰もが武器で攻撃してきた中、無惨に飛び蹴りをいれたのは光希だけだろう。
蹴られた無惨も、少し驚いた顔をしている。
刀を抜く時間すら惜しい。
走っている自分が最短で無惨の足を止められる攻撃は、蹴りだと判断した光希。
敵にとって致命傷にならないのは確実。
かすり傷にすらならない。
その後すぐに反撃をくらう。
それをわかっていての、渾身の力を込めた飛び蹴りだった。
―――……ほんの一瞬でいいんだ。一瞬、足止めができれば、
伊黒が上空から舞い降りて、無惨の首に刀を突き立てる。
そのすぐ後に追いついた炭治郎が、刀を振るう。
―――…ほらね。仲間が追いついてきてくれる
無惨とすれ違う際、振り回されていた管が光希の右肩に当たる。鮮血が飛んだ。
「ぐっ!!ゲホッ……ぜー…、ぜー……、へへ、羨ま…しいだろ、無惨。俺は…一人じゃねえんだ………」
飛び蹴りをぶちかました後、着地もできずに盛大に転がった光希が、激しく息を切らしながら笑った。
左手で右肩を押さえている。