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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第69章 命の限りに


ドコォォォン……ズガァァァン……
夜の闇の中、戦場に爆音が響き続ける。


戦場では、光希、炭治郎、伊黒で共闘していた。

目を欠損した伊黒は鏑丸の指示で動く。
そのしなやかで信頼に満ちた動きに光希は驚嘆する。

光希は再び炭治郎と組み、無惨を追い詰めていく。


無惨の体に、かつて継国縁壱から浴びた古傷が浮かび上がる。


「えっ……、なんだあれ?」
「あれを狙うんだ!無惨の急所だ!!」
「そうなの?!」
「ああ!!」

説明下手の炭治郎が手短にそう告げる。
詳細はわからないが、きっとそうなのだろうと思い、光希は「わかった!」と答える。

光希も炭治郎も、疲労が勝ちすぎてもはや透明の世界に入れない。
導いてくれる印があるのは心底ありがたかった。



「夜明ケマデ後四十分!!!」


鴉がそう告げた時、ドンッという大きな音と共に無惨が走り出す。


「!!!」

光希と炭治郎がぎょっとする。


―――……逃亡、だと?



「逃げた!逃げた!伊黒さん!!無惨が逃げた!!」


光希が言葉を紡ぐより早く、炭治郎が伊黒に無惨の逃亡を伝える。

その代わり光希は無惨に向かって即座に走り出していた。


――――くそっ、速いっ!!


必死に追いかける光希。
ひたすら足に力を込める。

走れ、走れ、もっと速く!あいつのように、速く!!!

光希は納刀し、追いかけることのみに集中する。


―――逃してたまるか!ここまできたんだ!


幾度も見てきた善逸の走りを脳内にイメージし、それに近付くように身体を動かす。

『足の動かし方はな……』
『力は込めるんだけど、力んじゃ駄目だよ』

善逸に教えてもらったことを思い出していく。


光希の足元から水飛沫のようなものが出てくる。雷の呼吸は使えないが、似たような現象が起きているのだろう。


草履の鼻緒が切れて飛んでいった。
肺が破れそうになるほど痛いが、お構いなしに走る。


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