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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第69章 命の限りに


音もなく戦場にふわりと現れた光希。
炭治郎のヒノカミ神楽に技を乗せる。

ヒノカミ神楽の威力が猛烈にあがる。

突然の参戦だったが、炭治郎はそれがわかっていたかのように強化された技を無惨に当てに行く。


光希が炭十郎の神楽を見たのは一度きり。
炭治郎との鍛錬も、伊黒のところで試した一度だけ。

しかし、光希は今ちらりと見ただけで神楽の動きがなんとなくわかった。まるで元々動きを知っていたかのように。

水の呼吸の参と弐を繰り返していくと、ヒノカミ神楽に技を乗せ続けられた。炭治郎の刀も、色が戻りかけても光希の刀と当たるとまた赫になる。


「夜明けまでいくぞ!炭治郎!」
「ああ!」


襲いかかる疲労。
しびれ始める手足。

管に弾かれて炭治郎が飛ばされる。
すぐに駆け寄る光希。
無惨からの追撃を弾く。


「もういっちょだ、炭治郎!!」
「うん!!」


常に光希が隣から鼓舞する。

今度は光希が連撃を浴びて技が止まる。
炭治郎が支援に入り、立て直す。


「光希!!まだ行けるな!」
「当然!!」


血を流しながら、よろけながら、また二人は立ち上がる。

一人じゃない。
それがどれだけ心強いか。


頑張れ!いけるぞ!まだまだ!

光希の前向きな言葉たちが、炭治郎の心の強さに変わっていく。


大丈夫か!踏ん張れ!あと少し!

炭治郎の優しい言葉たちが、光希の光になっていく。


技が途中で止められても、二人の言葉が途切れることはない。体中に傷を負いながら互いを庇い合い、助け合う。



「ガキ共……いい加減にしろ」
「はぁっ、はぁっ……俺たち、足したら三十歳!まあまあいい歳だろっ……」


無惨の速度が落ちる。


「……っ! 炭治郎、薬が効いてきたぞ」
「薬……?そうか」

無惨を見ながら光希がそう言うと、炭治郎はすぐさま珠世を思い出す。


「カァァ!夜明ケマデ五十九分!!」


「ぜぇ、ぜぇ……一時間切った!!」
「はぁっ…、はぁっ……、ああ!頑張ろう光希っ!最期まで!!」
「おう!!」


そう言いながらも、限界が近い二人。
一時間という長さが途方もなく感じられる。


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