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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第68章 仲間と共に


光希は夢を見た。


自分は左手で刀を握っている。
目の前には無惨。

『はぁ…はぁ…日の呼吸があればっ……』

勝手に自分の口が動き、声が出る。高めだが、男の声だ。

『その憎き技は絶えた。お前のように、古(いにしえ)を使う人間もそうは出ない』
『………いつか、誰かがお前を倒す。必ずだ』
『他力本願とは虚しいな。……希望の光とやらになれなくて残念だったな』

無惨の手刀が眼前に迫り、また暗転。
暗い中で声だけが聞こえた。



『繋いでくれ。どうか、この想いを……!如月家と、皆の悲願を……!!』



………そうだ。一人じゃ駄目でも、皆で繋ぐんだ。まだ負けてない、俺たちは負けない!!



光希は刀を強く握り、うっすらと目を開いた。全身打撲で吐きそうなほどに痛い。


「……くっ、………いってぇ…、皆…は……」


両手を付いてゆっくりと身体を起こす。


やや遠いところから戦いの音がする。

「誰、が……?」

痛みのせいでまだ頭がはっきりとしない。
くらくらとする視界の中、そっと地面へ飛び降りる。

「ぐぁっ……」

着地をしたものの、その衝撃で身体が悲鳴をあげ、その場に蹲る。


………どのくらい気を失ってたんだ

回復の呼吸を使いながら状況を確認していく。



「善逸……伊之助……」

転がる仲間を見つける。二人は村田たちに手当をされている。

「おい…大丈夫か……」

よろよろと近付く。
「息はあるぞ!しっかりしろっ!」という声が聞こえ、少しほっとする。


「カナヲは……どこに………っ!!」

ぼやける視界を動かすと、近くに愈史郎に手当されてる悲鳴嶼を見つける。


「悲鳴嶼さんっ……!足がっ…!」

光希が息をのむ。



そして。
自分から一番近い位置に居たのは。


「ぎ、ゆうさん……?」


光希の目が、負傷した義勇を捉えた。

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