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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第68章 仲間と共に


それでもまだ余裕のある無惨が口を開いた。


「技が合わさると威力が上がる……? そうかお前、『古(いにしえ)の呼吸』の使い手か」
「はぁ、はぁ、古の呼吸……?」

無惨からの攻撃が止まり、皆も一度様子見になる。すぐさま回復に切り替える。


「また生まれていたのか」
「なんのことだ」
「昔、同じものを見た。左利きの男だ。その者は己を、希望の光だと言っていた」

希望の光……
光希の隠し名、光希と繋がる。


「あー、じゃあ人違いだわ。俺、右利きだもん」

さらりと嘘をつく光希。

喋りながら思考を働かせる。
確かに両親に箸も筆も右に矯正され、自分の左利きは隠されてきた。何かあるのか、と思う。


「そのおかしな技を使うのが何よりの証拠だ。日の呼吸もろとも根絶やしにしたはずなのだが、まだ居たのか」
「殺し損なっちゃったんだね。たぶんこれ、日の呼吸と違って伝承されるものじゃないんだよ。特殊変異的なやつだな。そりゃ見つけにくいよな。しぶとく残っててごめんな」

「私はまずお前を殺すべきだったんだ。お前を失えば司令官もいなくなる」

無惨が光希に近付く。
彼女を庇うように、柱が全員光希の前に立つ。


「……下がってろォ」
「皆、いいよ。俺はいいから自分のこと守って」

「お前が取られたら、私たちは頭脳を失う」
「俺がいなくても大丈夫だって」

「士気が下がる」
「じゃあ義勇さんが上げてよ」

「いいから、たまには守られてくれ」
「慣れてないんだよ」


不死川、悲鳴嶼、義勇、伊黒が赫刀を無惨に向ける。皆、息が上がっている。


光希も刀を持って構える。
その瞬間、「ぐっ…」と声を出して血を吐く光希。ぱたぱたっと地面に血が落ちる。


「光希…っ!」

柱たちが驚いて視線を向けると、光希は膝から崩れた。


「殺すまでもないか。その小さな身体じゃ無理もない」

笑いを浮かべる無惨。
無惨の毒が彼女を死へと導いていっている。

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