第68章 仲間と共に
さあ、次はどうする。武器の遠投も長くは続かない。光希は脳みそを働かせる。
………次だ。次の一手を! 俺がやらなきゃっ!!!
次の展開に行こうとした時、乱戦の中で伊黒が刀を赫くした。
「………! 伊黒さん!どうやって……」
光希が驚く。
可能性を脳内で考えるが、それ以上に目の前の現状に焦る。赫刀化と引き換えに、明らかに伊黒の意識が混濁していたからだ。
「伊黒ーーー!!」
不死川が叫ぶ。
義勇も助太刀に入る。
………死ぬな!もう、誰も死んでくれるな!
心の中でそう叫ぶ光希は、刀を抜いて駆け出した。
「伊黒さーん!!!」
光希の視界の中、消える伊黒。
「……っ!!」
眉をしかめる。
が、すぐに彼の気配に気付く。
………いや、違う。上だっ!!
ばっと顔をあげると、伊黒は上に飛んでおり、更に上空でもまた不自然な動きをする。
瞬間、光希は確信する。
あの動き。間違いない。
「……はは。なんだよ……、速すぎて…一瞬見失ったよ……善逸」
涙が出るほどに嬉しい。
恐がりの善逸が、ここ一番で活躍してくれていること。仲間を守り、繋ごうとしてくれていること。心が熱くなる。
空中での変則的な動きはカナヲだろう。
「よく見てるなぁ、カナヲ。管をかいくぐって見事な回避だ」
ギザギザの断面で手を切り落とされる無惨。
「へへ、いいぞ、伊之助。流石の太刀筋だ」
そうだ。
皆、一緒にいるんだ。
大好きな仲間たちと共にいられる。
「嬉しいなぁ。お前らと一緒に闘える。これだけで、百人力だよ。……なあ玄弥、お前も一緒にいんだろ?」
光希はそう呟いた。
………あとは炭治郎、お前だけだ! ねぼすけ炭治郎め!早く起きてこい! お前が来たら同期全員集合だ!!
光希は激戦の中だというのに、微笑みを浮かべながら刀を握りしめた。