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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第68章 仲間と共に


光希の指示で隊士数名がごそごそと動き出す。

完全ではないものの止血を終えた光希は、戦場の様子を伺っている。


柱たちは傷付きながらも誇りを持って、必死で戦う。
体力と握力は限界だが、なんとか集中力だけを保っている状態だ。

早く次の一手を打たねば、潰される。



「投擲注意!!!」

光希の声が飛んだ。
柱たちがハッとする。


「椿!!」

光希が叫ぶと左方向から無惨を目掛けて数本の刀が飛ぶ。隊長の指揮で、隊士が拾った刀を力一杯ぶん投げていた。
柱たちはそれがわかり、味方の攻撃をくらわないよう動く。


無惨に刀が突き刺さり、それによって生まれた僅かな隙を狙って不死川が斬り込む。


「兎!!」

絶妙なタイミングで光希がまた叫び、今度は右方向から刀が飛ぶ。隙をついて伊黒が飛びかかる。


柱相手に軍団稽古してきた光希は、稽古の中で投擲も何度も試していた。同時に多方向から投げると味方に当たるため、合言葉を使って投げるのを一方向と決めている。

不死川と伊黒はこれらを熟知しており、鍛錬していない悲鳴嶼と義勇もこの数手でそれを理解した。


隊長たちも無惨からの反撃に備え、一度投擲したらすぐさま場所を移動して、一箇所に留まらないように常に動いている。

迷いなく、素早く動く隊士たち。よほど訓練されているのだとわかる。

光希は投擲を繰り返していく。



「山茶花!」「あけび!」「ハクビシン!」「サンショウウオ!」


繰り返すうちに、光希の指示にあがる動植物がだんだんとマニアックになってきて「長えわ!!」「解りづれえ!!」と刀を投げる隊士から笑い声があがる。
隊士たちが間違えてしまわないギリギリのところを狙って指示を出す。

稽古の時に「石斛(せっこく)!」と言ったら誰も動かなかったことを思い出す。
「知らねえ!」「なんだそれ!石?」と隊士からキレられ「はぁ?なんで知らねえんだ花だよ花!長生蘭!季語にもなってるだろ!」と叫び、攻撃が止まった隙をつかれて「阿呆がァ!」と不死川に蹴り飛ばされた。


どんな時もふざける。
例えそれが無惨との戦いであっても。

そんな光希の戦い方に、皆は勇気を奮い立たせる。

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