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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第68章 仲間と共に


吹き飛ばされた光希を庇うように立つ四人の柱たち。

「良くやった!後はまた私たちが繋ぐ!」
「少し休んでろォ!」
「回復できた。礼を言う」
「刀、借りる」


柱たちはすぐに無惨に向かって斬りかかっていった。

光希はその手に赤子を抱いている。
近くに母親はいない。取り残されていたようだ。

「………ぐっ…、すぐに行きます!」

柱たちにそう言うと、光希はよろりと立ち上がる。タタタと走り、近くの隠に赤子を預けた。


光希が、膝をついた。
腹に手を当てる。赤子をかばって、下腹部を負傷した。

………かすっただけだと思ったんだけど

痛みと出血に顔を歪める。


「如月様!」
「俺のことはいい。この子を連れて遠くへ!早く!!」
「は、はいっ!」

隠が走り去る。


光希は無惨の方へと身体を向けるが、よろりと膝から崩れる。


「……ゲホッ」

血を吐く。無惨の毒入りの攻撃は、浅くても致命傷になりかねない。


………行かなきゃ、死ぬ前に。まだ俺にやれることはある。仲間を守るんだ!


ぐっと足に力を込めたとき、肩に優しく触れるものがあった。彼女をその場に留めるように両肩を押してくる。


「え……?」

驚く光希。

それは、光希を落ち着けるように、肩をぽんぽんと二回叩いてきた。



姿は見えない。
それでも、すぐさま誰かわかる。

「なんだ……居たのかよ」

無惨に気付かれないように小さな声で呟く。『居るっつーの』と笑う善逸の顔が頭に浮かんだ。

光希は善逸の意図を汲み、腰を下ろし回復の呼吸に切り替える。


「俺は大丈夫、皆を助けて」


どこを見れば彼と目が合うのかわからないが、光希はまっすぐ前を見てそう言った。


身体をふわりと包み込まれる感触。抱きしめられているのだとわかる。

光希も善逸の頭だと思われる場所に手を伸ばし、そっと撫でる。善逸のもさもさっとした髪の感触があった。


「……バレたら意味がないぞ」

笑いを含ませて小さく呟くと、こくりと頷く気配がした。

目の前に僅かな土煙が上がり、自分を包んでいた感覚がなくなる。


「へへ、一瞬お化けかと思ったよ……善逸」


こみ上げる愛しさに、回復をしながら光希は少し笑った。


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