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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第68章 仲間と共に


………光希に、痣が出た?


愈史郎の紙を付け、姿を消して様子を窺っていた善逸の足が止まった。


『年取るまで、ずっと二人で一緒に居ような』

前に隠れ家で光希にかけた己の言葉が頭をよぎる。その夢はここで完全に絶たれた。


集中していた心が乱れる。


「こら!集中しろっ!!光希になんかあったらすぐに動くぞ!」
「あ、ああ」

伊之助に言われて、善逸は正気に戻る。
今夜を乗り越えなければ、そもそも未来なんてない。しっかりしろと自分を叱責する。


「あいつ、どうした、あんなに強かったか?雰囲気もなんだかいつものあいつと違えな。とにかくめちゃめちゃ速え……だけど、どうして攻撃しねえ」
「光希は夜明けまでの時間を稼いでるんだよ、きっと。あと、柱たちが回復する時間をね」
「炭治郎の奴、大丈夫かよ」
「今、治療してもらってる……、大丈夫!」

伊之助とカナヲが話し合う。

同期三人はまた動き出した光希と無惨に集中していく。



無惨が攻撃の速度をあげると、それに合わせてまた光希も速度をあげる。攻防は続いた。とにかく光希は一人で無惨を引き受け続ける。


……頑張れ、まだだ!まだやれるっ!!一秒でも長くっ!繋げ!次へ繋ぐんだ!!俺に出来ることを、やれ!!


光希は躱す。ひたすら躱す。命の狭間で、皆の為に躱し続けた。

誰もが心を熱くして、その光景を見守った。



無惨と光希の攻防は、ある一つの声で均衡が破られた。


「……っ……ふぇっ…、ふぎゃぁ……っ」

「!!!」


研ぎ澄ました感覚で、光希は爆音の中その微かな泣き声を聞き取り、はっとする。

柱や善逸の耳にも聞こえた。


―――赤ちゃんっ……! どこだっ!?


咄嗟に無惨から集中を反らせてしまう。
声のした方へと身体を向け、迷わずに地を蹴る。
光希の目の色が元に戻った。

無惨がニヤリと笑った。



「光希ーーっ!!」


義勇が叫び、駆け寄る。
善逸も姿を消したまま走り出す。

悲鳴嶼、不死川、伊黒も光希の方へと向かう。


その隙を狙った無惨が一気に光希に管を伸ばした。



ドガアァァァァン……―――



爆音が戦場に響き、瓦礫が舞った。


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