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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第68章 仲間と共に


「光希!!」「如月!!」

戦場に活気が戻る。


「総司令官……?殺したはずだが」
「殺した?」
「大層なキレ者で、やっかいそうだったからな。私が直々に殺した」
「……へえ、そうかい、お前だったのか」


師である桑島を殺したのが無惨だとわかる。
怒りが込み上げるが、冷静さを保つ。


………まずは時間を稼げ


「後継がいたのか」
「いたんだよ」


………一秒でもいい。長く時間を稼ぐんだ


「なあ、無惨。如月の名に覚えはないかい。俺の隠し名なんだけどよ」
「如月……?」
「昔々のことだよ」


………例えそれが、俺にとってどんなにきついことであっても、使えるもんは使うんだ


「如月……、そうか。お前は、あの医者の後胤か」
「そうだよ。流石。記憶力すげえな」
「稀なこともあるものだな」
「本当にな」

「事の発端の子孫が、総司令官とは片腹痛い。そもそもお前はこちら側の人間ではないか」
「んー…、悪いけど、俺、鬼嫌いなんだ」


光希が無惨と話している間、柱たちは必死に回復していく。



「なあ、青い彼岸花……欲しいんだろ?」


光希は口角を上げる。
途端に無惨の表情が変わる。


「言え。それはどこにある」
「言うと思うかい?」
「言わないのなら、お前を殺して記憶を探るだけだ。言え」

「人間に対して、そんな事できるのかな?死んで終わりじゃねえの?そうじゃなければ今までにそんな捜し物の一つ見付けられないわけがねえ」


光希は柱に被害が出ないようにさり気なく皆から距離を取る。
無惨を挑発して、完全に自分に攻撃が向くように仕向けた。



「………言え」
「あ、ごめん、俺本当は知らねえの。だからさ、言いたくても言えねえわ。教えてあげたいんだよ、ほんと。長い間ずっと探してたんだもんなあ」
「…………」
「カマかけてみただけなんだ」
「…………」
「とか言いつつ、本当は知ってたりして。さて、どっちでしょうね」


無惨相手にこの舐めた態度。
柱たちが青ざめる。

しかし、光希が合流してから五分、無惨の最も興味を引く会話を持ち出して時間を稼いだ。誰も傷付くことなく、回復に集中できた五分。


………これが俺の戦い方だ!


光希の初手は、徹底した時間稼ぎだった。

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