第68章 仲間と共に
愈史郎の“眼”をつけたまま走る光希。
甘露寺が無惨に不自然に吸い寄せられて負傷した。
……何だ?今の
わかりにくいながらも、可能性をいくつか考えながら走る。そこまで見て、光希は眼を取り去った。
義勇の握力が限界に来て、刀を弾かれる。そこへ不死川が違う刀を投げて寄越す。
誰かに危機が迫れば他の誰かが助ける。
普段仲の良くない者たちも協力し合っている。
しかし、負傷した身体。削られる体力。……何より、とてもじゃないが夜明けまで持たないという精神的不安が柱たちにのしかかる。圧倒的に劣勢だ。
それでも必死で戦い続ける柱。決して膝を付かない。柱であるという誇りを胸に彼らは戦い続ける。
甘露寺が離脱し、四人になった柱。
一人が欠けると周りにかかる負担が大きくなる。
一匹の猫が飛び込んで、柱たちに血清を撃ち込んだ。初めは驚いたが、身体が少し回復したことに安堵する。
柱たちに、また無惨の攻撃が迫る。
―――――そこに、夜を照らす閃光が濁流の如き轟音と共に駆け抜けた。義勇だけが聞いたことのある、その特殊な攻撃音
柱たちの眼前まで迫った無惨の管がことごとく弾かれた。
義勇の前に立つのは薄紫色の背中。
ここにいるはずのないその姿に、彼は信じられないと目を見開く。
「鬼殺隊総司令官、如月光希、推参!!!」
戦場に凛とした声が響いた。
無惨が地上に排出されてからまだ十五分も経っていない。この時間で本部からここに来るのは不可能だ。しかも息一つ切らしていない。あり得なさ過ぎて柱たちは絶句する。
「どうやって…、」
「瞬間移動!!へへへ」
光希は無惨から目を切らすことなく、即座に背中の刀を下し、背後の義勇に投げる。
「師範も水だったから」
それだけ伝える。
義勇は投げられた刀を掴み、腰に差す。
「俺が来たからには、もう負けることはない!今宵、この長き戦いに終止符を打つ!!必ずだ!!!まだまだここからだ!勝つぞ!!!」
光希が魂を込めて叫ぶと、生き残ってる隊士と隠が「うおおおーーー!!!」と声をあげた。