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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第67章 知以滅殺


「愈史郎が無惨を地上に出そうとしている」
「!!」


「無惨が地上に出たら、俺は行く」


広間の皆が驚く。


「そ、そんな……光希無しでどうやって指示を……」
「もちろんお前が出すんだ」
「だ、駄目だ。私だけでは」
「輝利哉」

有無を言わせぬ光希の一言。
弱気な言葉を吐かせる前に止める。


「終着点から逆算するんだ。我々の願いは何だ」


軍事指南で散々行ってきたことを繰り返す。


「無惨を…倒すこと」
「そうだ。そのためには何か必要だ」
「戦う、力。で、でも……、」
「ここには輝利哉、くいな、かなた、天元がいる。もう俺がいなくても大丈夫だ」
「………」
「お前が言うとおり、今必要なのは現場で戦う戦力だ。この戦いは無惨を倒さねば終わらない。違うか」
「……違わない」

輝利哉は膝の上の手をぎゅっと握りしめる。
とてつもない不安が心を取り巻く。

光希は輝利哉の前に移動する。


「お前は優秀だ。俺なんかよりずっと。それに一人じゃないだろ?大丈夫だ」


優しい光希の声に、耐えてきた涙が溢れる。


「泣くな。前が見えなくなっちまう」
「はいっ」
「俺も向こうで指示を出す。連携して一緒に戦うんだ。連携は俺の一番の得意技だ。へへへ」


光希は、輝利哉の机に置かれていた波千鳥の手ぬぐいで、笑いながら彼の涙を拭いてやる。


「かなた、くいな、夜明けまでの時間を定期的に現場に報じてくれ」
「わかりました」
「頼むぞ」


愈史郎と無惨が戦う。
引っ張り合いだ。

光希はひたすら祈る。


「天元」
「おう」
「ここを頼むね」
「俺も行く」
「駄目だ。天元はここ。皆を助けて」

光希は自分が座っていた机を指差す。


「もし俺たちが無惨を討ち損じたら、輝利哉を筆頭に天元と煉獄で鬼殺隊を立て直すんだ」
「光希……」
「だから、アンタは死んじゃ駄目」
「…………」
「何度でも何度でも立て直して、……いつか必ず倒してくれ、無惨を。ずっとそうして繋いできたんだ。それを切ってはいけない」
「了解した」
「うん」

光希は首を傾けて微笑む。
宇髄がよく知る、無茶ばかりする鉄砲娘の顔だった。

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