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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第67章 知以滅殺


バシィ!!

広間に大きな音が響く。


ドッと大きな音を立てて輝利哉がひっくり返る。


「しっかりなさいませ!お館様!!光希同様、早く次のご指示を!戦いはまだ終わってません!!」

くいなが輝利哉をぶっ叩いた。



輝利哉の目に魂が宿る。
むくりと起き上がり、すぐさま柱の集結を指示した。


「かなた、くいな、ありがとう」

小さく呟かれる言葉。



彼らの後ろに座る光希が、僅かに微笑む。


「輝利哉」
「ごめんなさい」

「いや、今のは俺の失策だ。お前は関係ない」
「えっ……」
「隊士の接近を見落とした。皆に伝達をうまくできなかった。無惨の回復速度を見誤った。全部俺のせいだから気にするな」

「いや、私が、」
「お前の失敗はなんだ」

「………思考が止まったこと」
「そうだ。失敗したと思った時こそ迅速に頭を動かせ」
「はい」
「無惨の攻撃範囲、捕食速度、思考傾向、毒耐性……失敗からも得るものは沢山ある。何一つ見落とすな」
「はい」
「いいか。うまくいかなくても反省しない。常に前をみろ。それが死んだものへの敬意だ」
「はい」

「諸葛孔明だって、韓信だって戦で失敗してんだ。俺たちが失敗しないわけねえ。大切なのは引きずらないことと繰り返さないことだ」
「はい!」



光希は早口で輝利哉に伝えていく。

…………これが、最後の講義だよ

そう思いながら。



「くいな」
「はい」
「いい平手打ちだったぞ。お前強いな。剣士になるか?」

叩いてしまったと落ち込むくいなに笑いかける。くいなは涙と同時に冷や汗を流している。


「この先また輝利哉が足を止めたら、またひっぱたけ。拳でいってもいいぞ」
「は……はい」
「喧嘩になったら、かなたが止めるんだ」
「はい」


ぽろぽろと流れていた、くいなとかなたの涙が止まった。



「私たちは必ず勝つ」


輝利哉が言う。


「おう!」
「ああ!」
「はいっ!」
「はいっ!」

広間の全員がその宣言に応えた。


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