第67章 知以滅殺
鬼殺隊士四人の死闘。
そう、それはまさに死闘だった。
身体を切断され、なおも立ち向かう無一郎と玄弥。その想いを武器に乗せて、ひたすら攻撃を続ける悲鳴嶼と不死川。
全員がズタボロになりながら、皆で繋いで行く。互いの信頼と愛を強さに変えて。
黒死牟の再生が止まった。
朽ちていく身体。
どこかに救いを求めるかのように、風に乗って消えていった。
戦場に生き残ったのは、二人。
一人の少年は、経の書かれた羽織に包まれて旅立ち、旅先で亡き兄と再開を果たす。
もう一人の少年は、愛する兄の腕に包まれて旅立っていく。
どちらの少年も、ずっと言えずにいた自分の想いを全て兄に伝えた。そして、短いけれど懸命に生きたその生涯を……永遠のものにした。
光希の目に涙はない。
「報じろ」
「はい」
「悲鳴嶼行冥、不死川実弥、時透無一郎、不死川玄弥、上弦ノ壱撃破ァァ!!無一郎、玄弥、両名ハ戦闘ニヨリ死亡ーー!!!」
一瞬、光希の手が止まる。
頭の中をいろいろな想いが駆け回る。
「よくやった……ありがとう」
その一言で全てを片付ける。
「残るは…、」
「無惨が、復活しました!!……光希、隊士がっ!!」
「なっ……待機命令が………!」
………隊長不在部隊の単独行動かっ!くそっ!命令違反か、伝達漏れか……、そして予想以上に速い無惨の復活……!
「すぐに固まり、迎撃だ!」
「輝利哉、違う!散らせ!!緊急避難だ!!」
「え…、どっち?………どうしたら…」
混乱する現場。
すぐに自ら鴉に指令を出す光希。
「隊長、直ちに避難!!」
命令通り近くで待機していた隊長率いる小隊は、速やかに撤退した。
「逃げろ!!今すぐだっ!!!」
光希は一般隊士の編成部隊に指示を出すも、復活した無惨にまたたく間に食われた。
呆然とする輝利哉。
慌てた妹たちが呼びかけるが、反応がない。
光希は輝利哉に構うことなく、撤退指示を出し続ける。なんとか無惨の進行方向の逆を伝えていくが、鴉ごと食われていく。
冷静さを保ちつつ、動き出した無惨の位置を補足し続ける。
愈史郎の動きも同時に見る。