第67章 知以滅殺
「伊黒小芭内、甘露寺蜜璃、上弦の肆と遭遇!戦闘開始!」
「時透無一郎、上弦の壱と遭遇!戦闘開始!」
「一気に来たな……。無一郎には至急救援を!上弦最上位だ。無一郎とはいえ、瞬殺されかねない!」
「悲鳴嶼さんと不死川が近いぜ」
「よし、二人を速やかに誘導しろ」
「肆は柱二人なので救援はとりあえず不要で様子見だ。敵の逃亡に備え、近くの隊士で周りを固めろ」
「はい!」
………壱か。壱はまずい、一人じゃ駄目だ。誰か…、誰かいないか?すぐに行ける隊士は……
「ん……?玄弥?」
光希は戦闘場所に走り込む玄弥の姿を捉えた。
「玄弥が行った」
「不死川の弟か。でもあいつじゃ」
「天元。玄弥を舐めるな。無一郎と仲もいい。これはいいぞ」
いいぞと言いながら、浮かない顔をする光希。
戦いを見ながら、他の隊士の様子に目を向ける。
善逸や炭治郎たちの回復状況を見て、またメモ用紙に書き込んでいる。
………長くはもたない。実弥さん、急いで玄弥のところに行ってくれ。これが、たぶん……最後だよ
口には出さずに見守る。
無一郎が片腕を落とされて柱に縫い付けられる。玄弥も身体を刻まれる。
そこへ現れる一陣の風。
兄として弟を背にかばう不死川の姿と、兄の想いを知り涙を流す玄弥。
交わされる兄弟としての言葉。
……ようやく二人は心を繋いだ。
光希はそれをしっかりと見届ける。
彼らから遠い場所で。
「………これで文句ねぇだろォ、光希」
「へへへ、兄ちゃんも……光希に叱られたのかよ」
「おせっかいな娘っ子だぜェ」
「む、娘っ?」
「ハァ?娘だろ、あいつ」
「女だったのか……」
「なんだァ、知らなかったのかァ……はは」
そう言うと不死川は、昔のように笑った。
はっとする玄弥。
「しっかり生き残って、嫁にもらえェ!!」
「兄ちゃん……」
「よくも俺の弟を刻みやがったなァ糞目玉野郎ォオ!許さねェ許さねェ許さねェェ!!」
そう言うと、不死川は黒死牟に切りかかっていった。