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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第66章 開戦


先程まで爆音と怒声が響き渡っていた産屋敷邸に、静寂が訪れる。

誰もいなくなった中、パチパチと火がはぜる音が聞こえる。それはまるで、先代と妻子の見事な自爆に対しての追悼拍手であるかのようだった。


闇夜を照らしながら燃える残り火は、これまでに散った人間たちの無念に寄り添う鎮魂火。
そして、皆が空へ登っていくための祈りの送り火。

生者はそれを継ぐ。
例えそれがどんなに辛くとも。



光希は扉を開ける。

「天元、煉獄」

「今、地上には誰の気配も感じない」
「同じく」

「了解。血気術かな」
「間違いないだろう」


光希は広間に戻る。


「光希、皆はどこへ……!どうしたらっ」

「落ち着け輝利哉。大丈夫だ」
「しかし、こんなことは」
「予想外になることなんて予想内だろ。慌てるな。まずは落ち着け。現状把握からだ」

光希は動揺する輝利哉の隣に座る。


彼の目の前で、“眼”に映る屋敷の映像を元に筆で建物の地図を素早く書いていく。


「屋敷のようなものに全員落とされたようだな」
「どこなんだ、ここは」
「無惨の血気術で作られた場所みたいだ。異空間に近いと思う」

「そんな中で戦うのか?」
「ああ」
「無惨に有利にならないか」
「そりゃ、なるだろうな。取り込まれたんだから」
「……どうしよう」

「大丈夫だ。俺たち剣士はどこでだって戦う。有利不利はあっても全力を尽くすことに変わりはない」
「うん」

「さあ、鴉に指示を出せ。出来るな」
「………出来る。ありがとう」

光希は筆を輝利哉に渡す。


「無惨を探せ!どこかにいるはずだ!捕捉して外へ引っ張り出すぞ!」

輝利哉が指示を出し、妹達がそれを書記して速やかに伝令鴉に伝える。


「よし、いいぞ」

笑って輝利哉の頭を撫でる。
光希は自分の机に戻り、己の仕事を始めた。


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