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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第66章 開戦


光希と三人の子ども達が、ザッと立ち上がる。


「この先は何度も練習したな。行けるか……輝利哉」
「ああ、大丈夫だ。ちゃんと受け取った」
「上出来だ」


戦いが始まったら、光希とのやりとりで、敬語、敬称は一切無し。

これはかねてより話し合ってきたことだった。
刹那で交わす指示の中に、余計なものは何一つ持ち込まないのが光希のやり方だ。

つまり、今がまさに「ここぞというとき」なのだ。



輝利哉、かなた、くいながそれぞれの机の前に着席する。

光希は三人の後ろにある、大きめの机の前に座った。隣には桑島法子の刀を置いている。



宇髄は広間を出て、扉の前に煉獄槇寿郎と並び、護衛として座る。



「……さあ、どう出る。無惨」


光希は集中をする。

そして愈史郎の血気術が発動し、“眼”が繋がる。


見えた映像には、珠世が無惨に薬を打ち込んだ姿。 
そして緊急召集を受けて集まった柱が、無惨目掛けて一斉攻撃をしかけようとしていた。


まさにここまでは、予測どおり。
その中で一つ、光希が驚いたことがあった。

それは無惨の顔。

今まで「こんな顔かな」となんとなく思い描いていた姿そのものだったから。


……これも、記憶の遺伝かよ。ばっちり遺伝してやがったなこんちくしょう


光希は手に持った鉛筆をぎゅっと握りしめる。


……今夜お前をぶっ倒して、その無駄に美しい顔をきれいさっぱり俺の脳みそから消してやる!


光希は戦況を注視しながら、如月家と無惨の因縁を再度思い知る。



柱達が先代の死への怒りを技に乗せ、各々渾身の一撃で無惨に向かう。

その迫力の激甚さに、現場にいないのにも関わらず、光希は鳥肌が立った。


しかしその時、無惨は笑った。


「これで私を追い詰めたつもりか?」

突如地面に現れた扉のようなものがスパーンと音を立てて開き、剣士達の足元が抜ける。


「貴様らがこれから行くのは地獄だ!!」

無惨を含めた全ての者が、そこから消えた。

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