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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第66章 開戦


夜空に浮かぶ三日月。
雲のない、不気味なほどに空気の澄んだ夜だった。

星が燦々と輝いている。



「――――如月様!!産屋敷邸に無惨が現れました!!!」



光希は、宇髄と共に会議室で話しているときに報を受けた。

瞬間的に立ち上がり、刀を持つ。


「総員!手はず通りに動け!!」
「はいっ!!」

隠が走り去る。


「行くぞ、天元」
「ああ」

二人も部屋を走り出る。


「善治郎!」

光希が廊下を走りながら鴉に呼びかける。
その一言で鴉は飛び去っていった。


光希が最後に隠れ家で善逸と過ごした夜、鴉はついに自分の名前を教えてくれた。
善逸と炭治郎を合わせたその奇跡過ぎる名前に、光希と善逸は「まじかよ!」と笑い転げた。

「だから、言いたくなかったんだ……」

善治郎はそう言って、わかり易いほどに嫌そうな顔をしていた。



飛んでいく鴉を横目で見ながら、広間に行く。

まだ誰も来ていない。


「天元……」
「大丈夫だ」

宇髄は後ろから光希を抱きしめる。小さな光希の身体は宇髄にすっぽりと包み込まれる。

光希はその腕を払うことなく、首元に回された宇髄の片腕を両手でぐっと掴む。

目を閉じて、乱れ気味になっている呼吸を整える。

「……よし、ありがとう」
「おう」

ゆっくりと目を開いてそう言うと、宇髄も光希から手を話す。



輝利哉、くいな、かなたが隠に連れられて広間に来た時には、彼女はしっかりと落ち着いていた。



「……光希っ!」

「お館様」
「……っ!」

光希と宇髄は膝を付く。
その呼び名で呼ばれて、輝利哉は顔を強張らせる。くいなとかなたも不安気に口元に手を当てて震えている。


「お館様、くいな様、かたな様。おいで」

光希は柔らかい笑顔を浮かべて座り直すと、両手を広げた。

三人はそこへ飛び込む。


「さあ、見届けますよ。大丈夫です。俺が居ます」

「光希……、光希……っ!」
「大丈夫、大丈夫。怖くない。よしよし、いい子、いい子」


光希は、ガタガタと震える三人の背中を落ち着かせるように撫でる。


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