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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第65章 行かなきゃ


光希が同じ報告を受けたのは、宇髄、輝利哉と軍議をしている最中だった。


「如月様。急ぎの報です」

隠が来た時から、ピリッと嫌な予感がした。
小さな紙を受け取り、目を通す。

その瞬間、バッと立ち上がる。


「光希?」
「おい、どうした光希」

「悪い、俺、行かなきゃ」


光希は宇髄に紙を渡す。


「行くって……、どこへ?」
「すみません、輝利哉様」


光希は、またたく間に隊服の上着を脱ぎ、灰色のシャツの上にいつもの羽織を乱暴に被る。
報告とその行動を見て、宇髄は理解をした。


「ごめん、天元さん」
「……ああ、行け」


光希は駆け出した。


輝利哉を交えての軍議を放り出すなんて、決して許されない。

それでも。
なんの躊躇もなく、隊服を脱いで勤務放棄をした。



『お前が本当にしんどい時は絶対に駆けつける』


約束したんだ。
俺の中で、お前の優先順位は一番なんだ。


「行かなきゃ……!早くっ!」

光希は善逸の元へ、最高速度で走った。




「天元、光希はどこへ……?」
「あいつにとって、最も大切な者のところへ行きました」
「最も大切な者…?」
「あいつの強さの源です。申し訳ございません。俺が許可したので、この責任は全て俺が取ります」

宇髄は深く頭を下げた。
報告の紙を輝利哉にも見せる。


「……光希が動いたということは、それが必要だということだろう?」
「はい」
「なら、私に異存はない」
「ありがとうございます」

「人は人と関わることで強くなるのだな」
「そうですね」
「それを、光希は教えてくれたのだと思うよ。今日の軍議の議題は、それだ」

そう言って、輝利哉は卓上を片付け始める。


「ほら、天元も行ってあげて。光希を一人にしてはいけない」
「申し訳ありません。後ほど二人で謝りに来ます」


宇髄は隠を呼んで輝利哉に付かせ、自分も善逸の元へ走った。


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