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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第64章 仲裁


「この屋敷でいちゃつけるのはお前たちぐらいだろうな」
「あはは、ごめん。発端は事故だよ、事故」
「見せ付けられて胸焼けするっつーの」
「見なきゃいいのに。つか、見んなよ」

屋敷を出て宇髄と光希は歩く。



「兄弟か……俺にはわかんねえな」

光希がぽつりと呟く。


「あんなに仲悪いもんなの?」
「家によるだろ」
「まあ……そうだな」
「竃門家の仲の良さは異常」
「ははは」

「不死川兄弟も仲良くすればいいのに……」


光希は空を見上げる。


「こういうのって、全部兄ちゃんが悪いんだろ?やっぱり悪いのは実弥さんだ。仲直りできるといいなぁ……」

光希は悲しそうな顔をする。


「あのね……天元さん」
「なんだ」

「………やっぱいい」

光希は眉を寄せて俯く。


「んだよ」
「……いいって」
「気になるだろ。それ、男落とす技だぞ?」
「は?」
「言いかけといてやめるってのはそれ用の技だろ。なんだよ俺を引っ掛けたいのか?」
「いやそんな事微塵も思ってねえよ!」
「じゃあ言えよ!」
「なんでそうなるんだよ……馬鹿か」

光希はぷいっと顔をそらし、速度を速めてスタスタと歩いていく。


「なんだよ。言えって」
「たいした話じゃないよ」

「……辛いことなら、尚更だ」

お見通しの宇髄。


「大丈夫だから、言ってみな」

宇髄は、光希の背中に優しい声で呼びかける。

彼女の足が、ふと止まった。


「…………俺、一人っ子なんだ」
「知ってる」
「でもね……本当は……本当は……」

宇髄が彼女に近寄り、肩にぽんと手を置く。


「あの日、母様が殺されてなかったら……俺は姉ちゃんになってたんだ」
「そうか」
「弟か妹かわかんないけどさ、産まれてたら、俺は絶対に可愛がったし、いっぱいお世話してあげたんだ。いっぱい遊んであげるし、……いっぱい仲良くしたんだ」


光希は俯いたまま拳をぐっと握る。


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