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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第64章 仲裁


部屋の外で止まる足音。

「光希?居るの?入っていい?」

善逸の声がする。


「どうぞ」

声をかけると戸が開いて、笑顔の善逸が顔を出す……が、炭治郎を見て一気に不機嫌になる。
善逸の頬も腫れており、あちこち赤黒くなっていた。


「……なに、なんで炭治郎がいるのさ」
「なんでって、」
「二人きりで何話してたんだよっ!」

善逸がドカッと光希の隣に座る。


「炭治郎に用があって来たんだから、別に二人で話しててもおかしくないだろ」
「それはそうだけどさ」

善逸は拗ねて口を尖らせる。


「光希、俺出てるよ」
「いいよ、炭治郎。俺もう帰るし」
「もう帰っちゃうのっ?」
「善逸、炭治郎と一緒に悲鳴嶼さんの所へ移動だ」
「え……じゃ、ここの修行は?」
「一旦終わり」
「いやったぁぁぁ!生き延びたぁぁ!ひゃっほー!!生きてるって素晴らしい!!」

善逸が途端にご機嫌になって飛び跳ねる。
光希と炭治郎は苦笑いだ。

機嫌が良くなった善逸と三人で少し話をする。


「天元さん、怒ってた?」
「うん。ど叱られた」
「うへぇ。俺居なくてよかった。俺も喧嘩に参加しちゃってるし」
「巻き込んでごめんな、善逸」

「でも、天元さんも本気じゃなかっただろ?」
「ああ。匂いは怒ってなかった」
「ははは、やっぱりな」


喋りながら、炭治郎は不思議に思った。

……この二人の距離感、なんだ?

隠れ家での善逸と光希はべったりだったが、蝶屋敷でもこんなに離れていただろうか。
なんだかやたらと遠い。


「ん?炭治郎?どうかしたか?」
「変な音してんな」

首を傾げている炭治郎に、二人が問う。


「もしかして……二人、何かあった?」


炭治郎がそう聞いたので、善逸はひやりとする。それに炭治郎が敏感に反応する。


「あったんだな」
「い、いや……別に」

善逸が光希を見る。
その目は、どうしたらいい?と訴えている。


「光希、善逸に何か酷い事された?」
「真っ先に疑うのが俺かいっ!何もしてねえわっ!人聞き悪いなあもう!」


「別に、何もされてないよ」

淀みなく平然と答える光希。


「……俺に言えないこと?」
「そうだね」

炭治郎が真っ直ぐに光希を見つめる。
光希も見つめ返す。

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