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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第64章 仲裁


宇髄と炭治郎の話も終わったようで、二人が居る部屋に入る。


「光希!」
「久しぶりだな、炭治郎」
「あ……、その、ごめん」

炭治郎がしょんぼりと頭を下げる。


「上着着ろよ。風邪引くぞ」
「あ、ああ」

炭治郎が隊服に手を伸ばし、のそのそと着る。
身体は包帯で巻き巻きになっている。


「やらかしたなぁ」
「ごめん」
「……ぷくくっ」
「??」
「いや、お前、真面目なのに結構やらかすなって思ってね」
「……ぐっ」

「天元さん」
「あ?」
「ちょっと炭治郎と二人にして」
「なんだよ密談か?善逸に言いつけるぞ」
「別に構わない。あいつなら居てもいい。でもあんたは駄目」
「ちっ」

そう言うと宇髄は姿を消した。


「炭治郎、俺は立場上お前を怒んなきゃいけないのな」
「ああ、わかってる」
「でも、本心は大喜びしてる」
「え……」
「よくやった、炭治郎」
「いやいや、乱闘だぞ?」
「それは結果だろ。お前の優しい真っ直ぐな心は、絶対に実弥さんと玄弥に伝わったから」
「そう…かなあ……」
「ああ。ありがとう」
「うん」

「俺もね、気にしてたんだ。あの二人。でも実弥さん素直じゃないからなあ。今も話してきたんだけど、あわや喧嘩だよ」
「……なにしてるんだ、光希まで」
「反射が一歩遅れてたら顔の形変わってたよ。危ねえ危ねえ」

「喧嘩っ早いのも大概にしてくれよ」
「今日大喧嘩した奴に言われたくないね」
「まあ…、うん。そうだな」

炭治郎が苦笑いをする。

「そういや、俺と炭治郎って大きくなってからは喧嘩したことない…よな?子どもの頃はしたけどさ」
「……ないな」
「珍しいな」
「そのうちやるかもな」
「へへっ、そうだな。負けねえぞ」
「俺も負けない」

にやりと笑う光希に、炭治郎も笑いかける。


「必要な喧嘩は大いに結構。俺からはお咎めなし。むしろ褒めてつかわす!」
「そんなこと言っていいのか」
「だから天元さん追っ払った。うるせーから」
「ははは」
「善逸のこと、頼むな」
「ああ。一緒に岩柱の所へ行けと言われたよ」

「あ、あと、実弥さんがごめんねってさ」
「あの人がそう言ったのか?」
「言うわけねえじゃん。でも、反省はしてたよ。申し訳なさそうだった。悪い人じゃないんだよ」
「そうか」


そこへダダダと足音がする。

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